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【ランキング12位達成】 累計57万7千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『アル様とさっちゃんの魔竜討伐日記』

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第二話 さっちゃん、空を斬る! 魔導飛行船vs空中盗賊団

蒼穹を裂いて、魔導飛行船《アストラ=バルムガンド》は進む。

高度三千、風は強く、空は晴れている。


「ふふふふっ、今日も完璧なエンジン音。どうです、アル様、さっちゃん天才すぎじゃないっすか?」


操縦席に座るピンクのワンピの可愛い少女。いや、ベビーサタンの天才使い魔・さっちゃんは自画自賛。

ツインテールを揺らし、操縦桿を優雅に操作していた。


だがそのとき――


「反応、上空より急速接近!不明機六!否、……これは飛行型魔導バイク!空賊だ!」


カンナ姫が叫ぶ。


「ふん、また野良の掃除か」とアル様。余裕の笑み。


「来るなら来てみろ、この《アストラ=バルムガンド》は空の城……ゼロ部隊、全員配置につけ!」


エリックが即座に手斧を肩にかつぎ、フラちゃんは注射器に謎の薬液を満たし始める。


空を駆ける空賊たちの乗機は、黒鉄のバイクに魔石を取り付けた粗雑な代物。しかし数は多い。


「さっちゃん、回避機動を――」


「へいへい、まっかせなさーい♪ っておい、アル様!またそんな格好して……」


既に艦橋を離れたアイゼンハワードは、船首で詠唱を始めていた。

漆黒のマントがはためき、空気が震える。


「目覚めよ、古き獣よ……

闇よ、我が肉体を喰らい尽くせ。

王の血よ、魔獣の骨よ――

真の姿へと具現せよ……

《魔獣 ライカントロス》!」


その瞬間、アイゼンハワードの身体が漆黒の獣へと変貌する。

巨大な黒狼の姿、眼光は深淵より生まれたような冷たさを宿していた。牙は雷鳴、爪は鋼鉄を断つ。


「魔獣先輩、容赦ないっすね……!もうちょい加減ってもんを……」


さっちゃんがツッコむ間もなく、獣は跳躍。


「《ベヒモス・コード 第参式──大イーグルー顕現》!」


挿絵(By みてみん)


狼が、巨大な白き大鷲へと姿を変える。翼を広げると、その影が飛行船をすっぽりと覆った。


「目標、三番機、撃墜――」


空賊の一人が叫ぶ間もなく、鋭利な爪が空を裂き、バイクごと真っ二つに。

衝撃波が連鎖し、空賊団は次々に落下していく。


「ヒャァーーー!!た、助け――!!」


「《雷撃槍・グラン=ツァンハンマー》!!」


カンナ姫のハンマーが甲板に出現した空賊を吹き飛ばし、

エリックは着地した空賊のリーダーを背後から無言で叩き伏せる。


フラちゃんは倒れた空賊の傷をニコニコしながら「LOVE治療♡」しようとするが、

さっちゃんが即座にストップ。


「おいフラちゃん、死体で“新しいお友達”作ろうとするのやめい!!wwww」


「次 、逝ってみよう!」

空は再び静寂を取り戻す。


さっちゃんはため息をついて、全員の姿を見渡した。


「おい…大丈夫なの?このゼロ部隊の空挺団はよぉ!!」


さっちゃんの悲鳴(?)が、今日も空に響くのだった。



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