第一話 空の旅路と仲間たち
魔界の空を悠々と飛ぶ巨大な魔導飛空挺《アストラ=バルムガンド》。中立と平和を守る特殊部隊—の名も【ゼロ部隊】の拠点であり、彼らの新たなる任務の旅が始まる。
朝、飛空挺の《ブリーフィングルーム》で行われる日課の朝礼。
さっちゃん(ランドセル姿の毒舌幼女、見た目小学生、態度は覇王)
「いい? 今日もゼロ部隊の規則、しっかり胸に刻んでいきなさい!」
1つ、接待や献金、ゼロ!
2つ、裏切り寝返り、ゼロ!
3つ、さぼり・誘惑、ゼロ!!
\ドヤァ/
だがその時——
「これは、君は美しい……。その澄んだ瞳、清らかな心、そして処女の血——至高にして芸術! どうか我が屋敷に来てくれたまえ、君は今日から我が妾だ!」
朝礼中にも関わらず、隊長アイゼンハワード・ヴァル・デ・シュトラウス(通称アル)が、見習い乗務員の女性にド直球の妾コールをかます。
「アル様ァァァァァ! ナンパすんなァァ!! てかいきなり“処女の血”とか言うなァァ!! コンプラ無視すぎるでしょ!!」
\さっちゃんの地獄ツッコミ炸裂/
その後も朝礼は地獄のような混沌を極める。
◆エリック(筋肉バカ切り込み隊長)
静かに己と向き合い、サイドプランクで全身から湯気を立てながら汗を滴らせる。
フッンフン フッンフン
「……戦いとは心技体。ナンパより筋肉だ。筋肉は裏切らない。女は裏切る。」
「朝からマッチョ臭強いわ! 汗臭より濃いわ!! ってか自分のベッド上でやれぇ!!」
◆カンナ姫(暴走ドワーフ姫)
「なぁんで! アタシだけナンパされないわけ!? 差別!? ドワーフ差別なの!?」
「……君はちんちくりんで男にしか見えないからだよ。」
「はぁああああ!? テメェ表出ろコラァァァァァ!!」
「うわ、怒ったちんちくりんが走ってくる! こわッ! 重力ハンマー持つな!! てか部品壊すな!! 空飛んでんのよ今ッ!!」
◆フラちゃん(アンデット族の天才看護婦)
不気味に微笑みながら、手に持った注射器を見つめてつぶやく。
「うふふ……今日は誰の死体を解剖しようかしら……ねぇ、アル様の心臓、見せて?」
「ヤメロォ!! 朝からサイコホラー混ぜんな!! てか今生きてる魔族の心臓狙うなァァ!!」
◆そして……
船内の床に正座しながら、朝礼の進行を放棄したさっちゃんがぽつりとつぶやく。
「……大丈夫なの? このゼロ部隊の空挺団……平和守るとか、まじ無理ゲーじゃない……?」
\カァーン……(鐘の音)/
つづく