第2話 宣言と緊張 魔界興行編開幕
崩れかけの石畳。
修復途中の魔王城。
その中央で
三姉妹の魔力が渦を巻き、勇者ユウ=アルトリアスはすでに精神的にHP1である。
ナターシャ・スパイシア「燃え尽きる覚悟はできた?」
ベルゼリア・スパイシア「合理的に私です」
ルミエラ・スパイシア「選ぶのは、あなたではなく運命です」
勇者、震える。
「……どれにしようかな、天の神様の言う通り……」
指が動く。
その瞬間。
エリシア、名乗り
「お待ちなさい」
空気が“整う”。
石畳にヒールの音。
コツ、コツ、コツ。
純白のロイヤルドレス。
白金の長髪。
揺るがぬ蒼碧の瞳。
彼女は中央に立つ。
「レグナリア王国 第一王女、エリシア・レグナリア」
一礼。
「勇者ユウ=アルトリアスの正式婚約者です」
三姉妹、ピキッと止まる。
勇者
「正式って今言った!?」
エリシア、続ける。
「私は勇者の未来を“遊戯”では決めさせません」
広場に静寂。
「勇者に相応しい方は、全てにおいて優れている方です」
手を掲げる。
六芒陣展開。
ドドドドドドド――!!
「よって、花嫁総合対決を提案します」
大臣ゲラハーゴン、閃く
観客席(まだ誰もいない)から声。
「ホッホッホッ……これは……!」
黒マントを翻し現れたのは――
大臣ゲラハーゴン。
「大魔王様! これを興行にすれば、魔界経済はV字回復ですぞ!」
魔王 ヴォルグラム
「なに?」
ゲラハーゴン、早口。
「タイトルは――」
『魔界復活!花嫁頂上決戦!勇者は誰のものだグランプリ!』
「チケット販売!闇配信!限定グッズ!スポンサー契約!」
魔王 ヴォルグラムの目が輝く。
「……それはいい考えだ」
ドン!!!
魔王 ヴォルグラム、玉座を即席設置。
「余が審判を務めよう!!」
実況席(悪魔武器たち)
突如スポットライト。
悪魔の杖
「さあ始まりました魔界最大の娯楽イベント!」
悪魔の剣
「会場ボロいけど気にするな!」
悪魔の槍
「今回のテーマは“総合力”!」
悪魔の斧
「城壊すなよマジで!」
魔界に突如観客がワープ転送される。
「おおおおおお!!」
カオス。
宣言、再び
エリシア、観客など意に介さない。
「本対決は六部門」
家事。
料理。
趣味。
思考。
知力・体力。
そして時の運。
「感情任せでは未来は決められません」
ナターシャ
「面白いじゃない」
ベルゼリア
「審査基準を数値化しましょう」
ルミエラ
「勇者様が賞品ですか?」
魔王 ヴォルグラム、即答。
「そうだ」
勇者
「え?」
ゲラハーゴン
「優勝賞品、勇者ユウ=アルトリアス!」
観客
「おおおおお!!」
勇者
「俺は物なの!?」
悪魔の杖
「勇者の市場価値は現在爆上がり!」
悪魔の剣
「転売禁止!」
魔界の命運
ゲラハーゴン、高らかに。
「本興行の収益は魔王城再建費用に充当されます!」
魔王 ヴォルグラム、拳を握る。
「魔界の未来はこの戦いに懸かっておる!」
三姉妹、闘志燃焼。
エリシア、静かに頷く。
勇者、ぽつり。
「……俺は何すればいいんだ」
全員、同時に指差す。
「優勝賞品だ!!」
勇者
「説明雑!!」
悪魔の杖
「第一競技、家事対決!」
悪魔の剣
「テーマは“勇者が帰りたくなる部屋”!」
魔力爆発。
炎飛ぶ。
家具浮く。
王女ドレスひるがえる。
魔王、満足げ。
ゲラハーゴン、すでにグッズ案作成。
勇者、頭抱える。
こうして
魔界の命運と勇者の未来を懸けた
前代未聞の
花嫁総合エンタメ大戦争が開幕。
(魔王城、今回も無事では済まない)




