第6話 裏切りの株主
帳簿が合わない。
銀の流れが消えちょる。
経理の横領。
さらに出資者の一人が競合他社と内通。
株価操作。船舶差押え未遂。
港がざわめく。
南蛮航路物産株式会社、内側から崩れかける。
その時、
大友宗麟が静かに口を開く。
「ほう……」
「やっぱり出よったか。」
低く、冷たい声。
「裏切り者はな、外より内におる。」
僕が拳を握る。
「処分しますか?公に晒しますか?」
宗麟、ゆっくり首を振る。
「感情で斬るな。」
「斬るなら、仕組みごと斬れ。」
帳簿を叩く。
「横領は罪じゃ。」
「じゃっどん、横領できる穴があったちゅうこっが問題じゃ。」
鋭く睨む。
「穴を塞げ。」
「二度と同じ手が使えんようにせぇ。」
内通者の証拠が揃う。
密書。
資金移動。
株価操作の痕跡。
僕は問う。
「公開処分か、密約か。」
宗麟、即答。
「密約は楽じゃ。」
「じゃっどん、それは腐り始めじゃ。」
一歩踏み出す。
「おはん、何を守りたか?」
僕は答える。
「信用です。」
宗麟、ニヤリと笑う。
「ならば隠すな。」
公開株主総会。
港中の視線が集まる。
宗麟が前に立つ。
「裏切りがあった。」
ざわめき。
「じゃっどん、わいらは隠さん。」
「証拠はここにある。」
帳簿を広げる。
密書を示す。
逃げ場はない。
内通者は崩れ落ちる。
宗麟の声が響く。
「南蛮航路物産はな、」
「甘か商いはせん。」
「裏切りは許さん。」
「じゃっどん、私怨でも動かん。」
そして宣言する。
「経理は二重監査制。」
「資金は公開記録。」
「株価操作は即時報告。」
「全部、晒せ。」
僕は覚悟を決める。
“透明経営”。
痛みを伴う選択。
株価は一時、落ちる。
だが
隠さなかったことが広がる。
港の商人が言う。
「あそこは誤魔化さん。」
信用が、ゆっくり戻る。
夜。
僕が問う。
「厳しすぎましたか。」
宗麟、海を見たまま。
「商いはな、」
「戦より怖か。」
「敵は顔が見えん。」
振り向き、言い切る。
「じゃっどん、内を正せば外は崩れん。」
最後に低く。
「舐められたら終いじゃ。」
「じゃっどん、信じられたら強い。」
南蛮航路物産株式会社。
最大の敵は、
海賊でも嵐でもなかった。
“内部の腐さり汚職”。
それを断ち切った夜。
会社は一段、強くなった




