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【ランキング12位達成】 累計80万4千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『仁風、町に吹く3 ― さっちゃん先生 マフィア編』

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第1話 道の果てに海がある。

挿絵(By みてみん)

港に立つと、潮風が静かに頬を打った。


中田運送の船団は整然と並び、帆を休めている。

国内物流は完成した。

陸の道はすべてつながった。


だが僕の視線は、その先は海へ向いていた。


そのとき、背後から静かな声が響く。

松尾芭蕉だった。


あらたふと

青葉若葉の

日の光


若葉が光を受け、新しく生まれ変わるように輝く。


僕は悟る。


道は陸だけではない。

海にもある。


芭蕉は波間の光に溶けるように去っていった。


僕は一人、港に残る。


「次は、国外だ。」


歴史を紐解く


海外へ出るには、先達が必要だった。

ただの夢想では海は渡れない。


歴史をめくる。

そこに一人の名が浮かび上がる。


大友宗麟。


戦国の世にあって、南蛮貿易に積極的だったキリシタン大名。

洗礼名はドン・フランシスコ。


彼は豊後国を基盤に九州北部最大勢力を築いた。

府内を国際都市へと発展させ、海外との窓口を開いた。


宗麟はただの武将ではない。


軍事。

外交。

宗教。

経済。


すべてを横断した国際戦略家だった。


立花道雪や高橋紹運といった名将を抱え、

鉄砲や火薬を導入し、軍を近代化。

同時に宣教師を保護し、西洋文化を受け入れた。


彼が導いたのは物資だけではない。


キリスト教建築。

南蛮美術。西洋音楽。

活版印刷。


文化そのものだった。


九州が日本で最も早く西洋化の風を受けたのは、

宗麟という窓があったからだ。


僕は確信する。

この男なら、海外を知っている。


僕は決意し、豊後へ向かう。


府内の港には異国の船が並ぶ。

香辛料の匂い。

鉄の匂い。火薬の匂い。


そこに立つのは大友宗麟。


宗麟が笑う。


「おはん、海に出たかち言うがか。」


声は低い。

だが芯が鋼のごとく通っちょる。


「金が足らん?出資者が逃ぐっ?

そいで止まる覚悟なら、最初から船なんぞ出すな。」


一歩、踏み出す。


「戦ちゅうもんはな、勝つ前に“腹”を決めっもんじゃ。」


府内の港を指さす。


「あいはただの港じゃなか。世界につながる“口”じゃ。」


「鉄砲も、絹も、学問も、待っちょれば来ん。

奪いに行け。取りに行け。」


眼光が鋭く光る。


「宗教も外交も商いも、全部“武器”じゃ。

甘えた理屈はいらん。」


「おはんが海を恐るっなら、海もおはんを沈めっど。」


そして静かに言う。


「開かん国は腐る。」


風が強まる。


「わいは負けも知っちょる。じゃっどん、閉じたことは一度もなか。」


振り向きざまに放つ。


「船を出せ。金は後からついてくっ。腹を決めた者にだけな。」


宗麟の背中は、海そのものだった。

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