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【ランキング12位達成】 累計7万9千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『仁風、町に吹く3 ― さっちゃん先生 マフィア編』

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第3話 古池や蛙飛び込む水の音

瀬戸内。


静かな入江。

船はまだ出ていない。

塩田も、動いていない。


朝は、ただ白い。


僕は浜に立つ。


塩はある。

米もある。

醤油もある。


だが

「まだ、物流網になっていない」


点のままだ。


越後の米。

瀬戸内の塩。

伊予の柑橘。

堺の刃物。


誇りはある。

だが、物が流れていない。


芭蕉が、古びた溜池を見ている。


風もない。

波もない。

ただ、水面。


「静かですね」


芭蕉

「静かだ」


沈黙。


その時。


ぽちゃん。


小さな水音。


波紋が、円を描く。


ひとつ。


ふたつ。


広がる。


芭蕉、筆をとる。


古池や

蛙飛び込む

水の音


僕は、水面を見る。


たったひとつの飛び込み。

だが、いずれ波は岸まで届く。


「……最初の一便ですね」


芭蕉は何も言わない。


僕は続ける。


「ひとつ動けば、広がる」


最初の船。

最初の塩袋。

最初の中継蔵。


小さな“音”。


だが、その波紋は――


京へ。

大坂へ。

江戸へ。


やがて全国へ。


「物流は、戦ではない。波紋だ」


止まっていた物産が、動き出す。

静かな浜に、船の軋む音。


帆が上がる。

水が割れる。

もう、古池ではない。


海だ。


芭蕉が、僕を見る。


「僕が飛び込みます」


帆船が沖へ出る。


波が広がる。


塩が運ばれる。

味が広がる。

関係が広がる。


やがて


時代が動く。

静寂の中の一音。


それが、物流革命の始まり。


物産物流網は、

いま、水の音から始まった。

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