第11話 剣豪ズと影の軍団の選手入場
昼下がりの球場 に選手が入場した。
真昼の太陽が、白い土を照らしている。
影も、嘘も、すべてがはっきり見える時間帯。
一塁側 : 剣豪ズ(元剣豪・野球軍団)
三塁側 : 影の軍団(元忍者・野球軍団)
両軍、ベンチ前に整列。
だが、並び方からして異様だった。
影の軍団は、人数が合わない。
数えようとすると、増えたり減ったりする。
審判が帽子を押さえる。
「……ま、まあ、試合中に増えなきゃいい」
影の軍団・主なメンバー
◇霧隠 再三(忍術ピッチャー)
腕が赤く光っている。
「火はルール上OK」
ボールを握ると、火遁で燃える。
球速表示は、計測不能。
審判、確認を諦める。
◇服部 半蔵(影分身バッター)
すでに三人いる。
「一人で三振しても、分身の誰かが当てればヒットだろ?」
ルールブックをめくる審判。
該当条文は、ない。
◇風魔 小太郎(影走り走塁)
ベース付近に、残像が三つ。
盗塁成功数が多すぎて、
スコアラーが途中で数えるのをやめた男。
「走ってない。 “影が進んだ”だけだ」
剣豪ズ・メンバー紹介
◆宮本武蔵(二刀流プレイヤー)
剣豪にして、二刀流。先発投手兼・主軸打者。
【投球】
剛速球は戦場仕込み。だが力を抜いた瞬間、
球は落ち、逃げ、遅れて来る。
剣の理を“投げる”に転用した変化球。
【打撃】
最初は剣のように上から叩き斬っていた。
だが気づく。野球は斬る競技ではない。
下から描く円アッパースイング。
振り切った打球は、高く、遠くへ飛ぶ。
【境地】
剣は殺す道。野球は生かす円。
投げて、打って、考えることで完成した二刀流。
剣も、球も、使えるものはすべて使う。
忍者に負けたまま、終わらない。
剣と野球を背負う、唯一無二の二刀流。
「野球とは、相手を斬らずに、間合いを奪う戦だ。」
◆佐々木小次郎(芸術的空振り王)
バッティング
とにかく、当たらない。
だがすべて
「狙って外している。」
投手の球種、回転、癖を
三振しながら学習する。
観客:「え、今の空振り……綺麗じゃない?」
守備 動かない。
だが打球が来る場所に、なぜかいる。
◆伊東一刀斎(夢想守備職人)
バッティング。打たない。
当てる。ゴロでいい。
「野球は、倒す競技ではない」
守備
夢想剣の理。動く前に、結果が見えている。
フライの落下点に、最初から立っている男。
◆高田又兵衛(守備範囲おかしい男)
バッティング
振りは荒い。だが必ず内野に転がす。
「俺が一塁に着くまで、誰も追いつかん」
守備
三遊間?右中間?関係ない。
「そこ、俺の守備範囲」
チームメイトも、
どこを守っているのか把握していない。
ベンチ
監督:塚原卜伝
腕組み。目が笑っていない。
「勝て。 美学はいらん。
ルールは“抜け道”だ」
審判の動線まで、すでに把握済み。
コーチ:柳生宗矩
静かに、武蔵へ。
「剣豪連携は、忍術対策ではない。
“忍術が通じない野球”を作る」
宗矩のノートには、
合体忍術対策シフトが描かれている。
両軍、礼。
太陽の下、剣と忍と野球が正面からぶつかる。
プレイボール。




