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【ランキング12位達成】 累計68万4千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『仁風、町に吹く3 ― さっちゃん先生 マフィア編』

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第10話 流れていく町、流れマン2

駅前は、いつの間にか

元の空き地に戻っていた。


舗装は少し剥げ、

雑草は相変わらず

遠慮なく伸びている。


完璧じゃない。

相変わらず、風が吹けば砂埃も立つ。


それでも――

人は、立ち止まる。


朝、新しく建てた小さな店のシャッターが

順番に開く。


元八百屋 店主は、箱からはみ出すほどの野菜を並べ、

元文房具屋 店主は、色鉛筆を一本ずつ試し書きできるように置いた。


元喫茶店 店主は、昔と同じ豆を挽く。

少し薄いが、ちゃんと温かい。


奥では、子ども食堂の準備が始まる。


「おかわり、あるよ」


その一言で、空気が柔らかくなる。


流れマンは、空き地の端で

素麺をすくいながら、町の音を聞いている。


迷った犬の行き先。

回覧板の渡し忘れ。自転車の鍵の行方。


どれも、世界を変える話じゃない。


夕方、子ども食堂の片づけが終わる頃。


元八百屋が、売れ残ったトマトを箱に戻しながら言う。


「町はさ、ずいぶん形を変えるな」


元文房具屋は、短くなった鉛筆を揃えながら、

笑って続ける。


「でも、人に渡すもんは、昔から変わらねえ」


元喫茶店のマスターは、最後のコーヒーを自分で飲み、

湯気の向こうで呟く。


「居場所だよ。結局、それだけだ」


三人は顔を見合わせ、

ほとんど同時に、こんなことを言った。


「町は変わっても、俺たちは変わらないな」


少し離れたところで、流れマンが

空き地を吹き抜ける風を感じている。


彼は、三人の背中を見ながら、

静かに一言だけ添えた。


「変わらない人がいる町は、何度でも流れ直せる。」


誰も拍手はしない。ただ、

提灯が揺れ、

子どもたちの笑い声が少し遠くで響いていた。


町は今日も、完璧じゃないまま、

ちゃんと前に進んでいる。


『流れマン2 町内ヒーローと、逆流する街』



~~完結~~


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