表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ランキング12位達成】 累計68万9千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『仁風、町に吹く3 ― さっちゃん先生 マフィア編』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1542/1561

第7話 AIの想定外

夕暮れの駅前。

新しい舗装は、まだ靴音に慣れていない。


ベンチはある。

照明も明るい。

防犯カメラは完璧だ。


だが、誰も座らない。


デュエルAI投資不動産のモニターに、

淡々と文字が並ぶ。


「売上推移:計画通り」

「回転率:想定以上」

「成功確率:99.1%」


一瞬、数値が揺れた。


「……異常検知」

「平均滞在時間、短縮傾向」


AIは首をかしげる概念を持たない。

ただ、ログを洗い直す。


人は来ている。

金も落ちている。

だが、“残らない”。


買い物を終えた足は、

すぐ駅へ向かう。

エスカレーターは上りだけ混む。


夜風が、空白になった商店街を抜けていく。


町は、儲かっていた。


だが、根を張る前に、

人は荷物をまとめるように去っていった。


流れマンは、新しくできたコインパーキングの端に立ち、

出入りする車を眺めている。


停める。

降りる。

用を済ます。

乗る。


そこに、“寄り道”はない。


町長が、商店街会長が、

小さくため息をつく。


「成功してるはずなんですがね……」


流れマンは、地面に映る人影が、

すぐ消えるのを見て言った。


「数が多いと、流れてるように見える」


少し間を置いて、続ける。


「でも、根づく流れは、立ち止まりから始まる」


風が吹く。

タワーマンションの影が、

ゆっくり伸びる。


AIは、“立ち止まり”を変数として持たない。


だが町は、静かに答えを出していた。


儲かる町から、住みたい町へ。


その分かれ道で、

人はもう、歩き始めている。


流れマンは、名乗らない。


ただ、去っていく背中と、

戻ってこない影を見送りながら、

こう呟いた。


「町は、通過点になるとき、いちばん静かに壊れる。」


AIの想定外は、今日もまた、

人の足音だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ