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【ランキング12位達成】 累計68万4千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『仁風、町に吹く3 ― さっちゃん先生 マフィア編』

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第3話 消える店、残る匂い

朝の商店街は、まだ人が少ない。


シャッターの音だけが、遠くで反響している。


八百屋の前に、張り紙が出ていた。


《本日をもちまして閉店いたします》


手書きの文字。

インクが少し滲んでいる。


「ここ、安かったのよ」

「おばちゃん、元気かな」


人は、気づくと立ち止まり、

話し始める。



次は、文具店。


《○月◎日をもちまして閉店いたします》


ガラス越しに、色あせたノートと鉛筆。


「この店で、初めて万年筆買ったんだ」


《○月◎日をもちまして閉店いたします》


喫茶店の扉は、もう開かない。


でも、

コーヒーの匂いだけが、

なぜか残っている。


最後の日。

誰かが呼んだわけでもないのに、人は集まった。


買い物はしない。

ただ、立ち話。


「昔はね」

「覚えてる?」


言葉が、次から次へ流れていく。


流れマンは、少し離れて歩いていた。


シャッターが下りるたび、

人の流れが、一度、溜まる。


そして、静かに散っていく。


AIのデータには、

「滞留時間」しか残らない。


でも、そこにあったのは、

別れの流れだった。


夕方。

商店街は、

一気に静かになる。


風が吹き、シャッター街を撫でる。


流れマンは、歩きながら、

匂いを覚えた。


野菜の土、インク、コーヒー。


数字にはならないものが、町を支えていた。


そして、それが今、

流れ落ちていく音がした。



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