第17話 ギャルソングでチャラLOVEハッピース
悪魔王ガイアスが最大奥義の必殺技を放つため準備を始めた。
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名前 悪魔王ガイアス(サターン)
レベル:99
体力:12000
攻撃:9000
防御:9000
素早さ 999
魔力:9000
賢さ:20
運:250
この世界で、魔王軍の4天王のリーダーで魔王軍の総司令官、魂の解放により不死身の身体ではなくなる。鋭い金色の瞳と、長く鋭い爪と漆黒の翼をもつ魔王軍の最高位。
【固有スキル】
闇王の威圧:戦闘開始時、敵全体の攻撃力・防御力を20%低下(永続)。さらに低ランクの敵は2ターン行動不能。
暗黒耐性 MAX:闇属性の魔法・攻撃を完全無効。さらに光属性の攻撃も50%カット。
魂喰いの眼:HPが50%以下になると、自動で敵一体の最大HPを吸収。 1戦闘につき1回発動。
闇の覇者:聖属性の敵に対して与ダメージ2倍。
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黒く渦巻く異形の魔力が立ち上る。悪魔王ガイアスが大きな翼で浮遊した。
悪魔王ガイアスは、ゆっくりと黒い宝石を手に掲げた。それは、禍々しい闇を内に秘めた結晶となった闇の神核。
「これが……我が魂と契約した最終の力。闇神核よ! 目覚めろッ!!」
バチバチと雷のような音が空間に満ち、地面が震えた。闇の核が赤黒く発光し始めると、ガイアスの全身に黒い魔力の奔流が流れ込んでいく。
「ぐうっ……くく……ふははははっ! 力が、溢れる!溢れて止まらぬぞ!!」
空が悲鳴を上げるように裂け、風が逆巻く。世界そのものが拒絶するような、異様なエネルギー。
「これは……!?」
俺は震えながらガイアスを見た。その魔力は桁違いだ。今までの比ではない。
マーリンも額に汗を浮かべながら呟いた。
「まさか……闇神核を使うなんて……! 自らの命すら燃料にする禁忌のアイテムよ!」
それは悪魔王ガイアスの胸に埋め込まれた禁断の力。闇神核。
それが今、臨界を超えて暴走を始めていた。
ガイアスは笑いを深くする。
「命など惜しくはない。この世界を、貴様らが炎に包まれる。その瞬間が見られるのならばな!」
「フハハハハ! 我が闇神核が共鳴しているぞ…!この世界を“奈落終焉陣”で消し去ってくれるわ!」
悪魔王ガイアスは巨大な魔法陣を展開し、黒雷と瘴気が天へ向かってうねり上がる。
周囲の大地が崩れ、魔族すら膝をつく超魔力の爆風。
「これが…世界の終わりだというのか……!」
勇者アルベルトは絶望の中、双剣を構える。リスクもまた、ゼロの法則を発動しようと試みるが、その魔力すらねじ伏せられるほどの凄まじいエネルギーだ。
「くっ…このままじゃ、私たちも……!」
「闇より生まれ、闇に還る。
星よ、命よ、記憶よ、終焉へ沈め
ゴゴゴゴゴッ――!
魔法陣が天に広がり、空が血のように赤く染まる。大地が裂け、炎と闇の魔力がうねり出す。
このままでは、世界が灰燼に帰す!
そのとき、風が変わった。
「させないよッ!!」
鋭い声が響き、ライラが突撃する。
魔力を込めた弓を手に、風のように舞い、ガイアスの魔法陣の中心に風の矢が突き刺さった。
「喰らえ!《風牙刃・嵐旋》!」
ズドオォンッ!!
魔法陣の一部が崩れ、ガイアスの詠唱がわずかに途切れる。
「貴様ッ、小娘が……!!」
だが、次の瞬間――。
「へいへいへ〜い! ギャルは黙って歌で勝負☆」
眩いステージライトのような魔法陣が出現し、そこに現れたのはイーリス。
彼女はマイクを構え、ギャル全開の歌声を轟かせた。
「いくよーっ!《チャラLOVE☆ビームソング!!》」
♪ チャラチャラでピース! 魔王もストップ!
ギャル魂で、み〜んなハッピー☆
♪ メイクはバッチリ☆笑顔も最強☆
世界救うの、ギャルだってアリでしょ!?
♪ 闇の闇よりチャラ光
オーラでぶっ飛ばせ!
♪ 闇属性? 無理無理~☆
チャラ魔法で上書きしちゃう〜♪
♪ どんな呪詛もバイブスでブチ上げ!
ギャルこそ最終兵器、YES!リスペクト♡
♪ だから負けないこのステージで――
チャラLOVEビーム☆届けるよォ!
\LOVE & PEACEで浄化完了☆/
「……やめろォォォォォォッ!!!」
ガイアスの叫びも虚しく、歌は魔法陣の構造そのものを“崩し”始める。
イーリス族のギャルのライラの声には、闇神核を沈静化する封音の力が宿っていたのだ。
「バカな…この魔法を…音ごときで封じるだと……!? わしは…わしは……!」
魔力の渦が徐々にほどけてゆき、魔法陣はひとつ、またひとつと壊れていく。
暴走していた闇神核も、紫の閃光を上げて一時的に沈黙する。
その波動がガイアスの耳を直撃し、詠唱が完全に狂う。
「なっ……歌で詠唱が妨害されるだとッ!?!? こ、これは……リズム攻撃!? バカなぁあああ!!」
ライラは静かに、背負っていた黄金の弓――**《イージスの弓》**を取り出す。
「このために持ってきたんだよ……。タイフーン、解放ッ!」
彼女が弦を引いた瞬間、大気がうねり、竜巻のような風がガイアスを包む!
「うおおおッ!?……な、なんだこの風はァァ!!」
タイフーンの効果により、空中浮遊していたガイアスの姿勢が乱れ、完全にスタン(気絶)状態に!
俺はそのすきに、道具袋から黒ずんだ盾を取り出し、ガシャンと装備する。
破滅の盾、呪いが起動!!
【リスクの防御が0から−100へ低下しました】
「ぎぃゃあああああああああああッッ!!」
「まるで魂がズタズタになる感覚なんだけどッ!!誰かやめさせてッ!!」
俺の全身が銀色の光に包まれる
《Aegis Absolute――アイギス・アブソリュート》
【リスクの防御が+900されました】
俺は道具箱を開き、腐海なダケを手に取る。そして
パクッ
もぐもぐ……。
「…………うああああああああああああああああッッ!!!」
【リスクの攻撃力が−5になりました】
「……な、なんだこの不快感……!
好きだった子に彼氏ができて幸せそうな顔をみる気分だ……!」
全身が銅色に光りはじめた。
ゼロの能力者、三つ目のスキル――!」
《Excalibur――エクスカリバー》、起動!
「今だ、リスク!ガイアスは歌で乱れてる今なら行ける!」
アルベルトがリンゼルの双剣を交差させ、闇の核を狙って跳躍する。
そして
金、銀、銅―三つの輝きが交差し、リスクの身体が蒼白く輝く!
《最弱》にして《最狂》
ゼロ能力者・リスク、今ここに、すべての《数字》を上書きする!
俺のステータスが、狂ったように跳ね上った!!