第15話 悪魔王ガイアスとの再戦
悪魔王ガイアスとの二度目の戦闘がはじまった。
―――――――――
名前 悪魔王ガイアス(サターン)
レベル:99
体力:12000
攻撃:9000
防御:9000
素早さ 999
魔力:9000
賢さ:20
運:250
この世界で、魔王軍の4天王のリーダーで魔王軍の総司令官、魂の解放により不死身の身体ではなくなる。鋭い金色の瞳と、長く鋭い爪と漆黒の翼をもつ魔王軍の最高位。
【固有スキル】
闇王の威圧:戦闘開始時、敵全体の攻撃力・防御力を20%低下(永続)。さらに低ランクの敵は2ターン行動不能。
暗黒耐性 MAX:闇属性の魔法・攻撃を完全無効。さらに光属性の攻撃も50%カット。
魂喰いの眼:HPが50%以下になると、自動で敵一体の最大HPを吸収。 1戦闘につき1回発動。
闇の覇者:聖属性の敵に対して与ダメージ2倍。
―――――――――
「ガイアス……!リンゼル兄さんの仇だ!」
アルベルトの瞳が燃えるように輝いた。
剣を手に、一歩、また一歩と進み出る。
背後には、共に戦ってきた仲間たちシスターマリア、マーリン、ライラ、リスク、そして大きな怪物フラちゃんの姿がある。
かつて“不死”と恐れられた悪魔王、ガイアス。
だが、彼はもはや不死ではない。リスクの活躍により。その力は封じられ、今度こそ討てるはずだった。
「……わしをみくびるな、勇者ども」
ガイアスの声は低く、空間全体に響く。だが、どこか愉悦すら感じさせる響きだった。
リスクが剣を構え、シスターマリアとマーリンが杖に魔力を込め、ライラが魔封の弓を引き絞る。フラちゃんがその後ろで震えながらも拳を握りしめる。
アルベルトは一歩、前に出た。
「……この戦いで、終わらせる」
「終わらせる? ふふ、違うな。お前たちの物語は“ここで幕を閉じる”のだ」
■絶望輪舞■
ガイアスが両腕を広げると、闇が吹き出した。彼の口から、冷酷な詠唱が紡がれる。
「踊れ、無明の風よ。
血と嘆きの鎖にて、魂を縛れ。
黒の円舞、開演――《絶望輪舞》!」
轟音と共に黒い旋風が渦を巻き、床の魔方陣を踏み砕く。闇の刃が飛び交い、マーリンの防御結界を切り裂く。
ライラが叫び、フラちゃんが膝をつく。黒い鎖が空中に浮かぶ勇者たちを次々と縛りつけた。
「くっ……身体が……動かない……!」
麻痺と呪いが一気に襲いかかり、全員の動きが鈍った。
「どうだ? 不死を失った我が身でも、この力は健在だぞ……」
■黒獄界門■
続けざまに、ガイアスの右手に闇の渦が現れる。虚空に向かって印を切るように指を動かしながら、彼は再び詠唱した。
「虚無の果て、万象の門よ。
この地に堕ちし者たちを呑み込み、
滅びの鐘を鳴らせ――《黒獄界門》、開門!」
地面が割れ、三つの巨大な黒い門が現れた。そこから不気味な霧が吹き出し、魔方陣が赤く点滅し始める。
マーリンが目を見開いた。
「……あれは……三ターン後に即死級の闇の波が来る!しかも全てのバフが消される……!」
ライラが焦った表情で弓を引き絞る。マリアとフラちゃんの手が震えた。
■虚無なる審判■
ガイアスは止まらない。闇に包まれながら、高らかに詠唱を続けた。
「希望は罪、光は偽り。
汝らの祝福、今より我が力となる。
審きの虚無よ、我に集え――《虚無なる審判》!」
全員の強化効果が音を立てて砕け散り、それがガイアスの身体へと吸収されていく。
彼の身体は脈打ち、漆黒のオーラが数倍にも膨れ上がる。
「……こんな、バフまで……!」
「やっぱり、ガイアスは……!」
リスクが歯を食いしばり、毒針を構えるも、その顔には焦燥が浮かんでいた。
■真・魔神雷槌■
ガイアスが空に向けて右手を掲げた。天井のない空間に黒雲が湧き、雷鳴が轟く。
「全ての光は滅び、
雷鳴は冥府より訪れる。
裁きの闇雷よ、貫け――《真・魔神雷槌》!」
漆黒の雷がアルベルトを狙って落ちた。。
伝説の防具をもつリスクが間に入り、雷を弾こうとするが、間に合わず激しい衝撃が響いた。
「ぐあっ!」
リスクが吹き飛び、シスターマリアがすぐさま回復魔法を飛ばす。
■影の同化■
ガイアスが静かに歩み寄る。その声は低く、甘く、まるで昔を懐かしむかのように語った。
「そういえば、これを使うのは久しぶりだな……《影の同化》。リンゼルの仲間は。あの時、魔法使いルーンは仲間を斬った。なあ、アルベルト。お前にもその気持ち、味わわせてやろう」
「心に宿る影よ、語れ。
愛と記憶を焼き捨て、真の闇を受け入れよ……
かつての仲間を斬ったように……今度は、お前が斬る番だ。
《影の同化》!」
黒い炎のような影が、アルベルトの影に融合する。彼の身体がわずかに揺れ、目に魔族のような赤い光が宿る。
「う……ああ……っ!? な、なんだ……これ……!」
「アルベルト!? まさか……!」
ライラが叫ぶ。フラちゃんが「やだ……やめて……」とつぶやく。
「……俺は……俺は……!」
勇者アルベルの手にしたイージス剣が、ゆっくりと仲間の方へと向き始めていた。