第13話 ゼウスの浮気癖
二重星の神殿
その最奥、重々しい石の扉の向こうから、怒号が響いていた。
「絶対ボス級おるやつじゃん……」
俺は、背筋に走る悪寒を隠しきれなかった。
ギィィイイイ……!!
石の扉が軋みを上げて開いた瞬間、神殿の奥から強烈な光があふれ出す。
空気が一瞬で変わり、周囲の温度が上昇した。
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俺たちがボスの間の部屋に入る少し前に
神のオーラをまとった筋骨隆々の男、全知全能の神ゼウス!
その隣には、まばゆい美と気品を放つ女神、愛の女神ヴィーナスが部屋に居た。
「ビーナスちゃ〜ん♡ 今日もその黄金比、神がかり的に完璧ゥ〜♡」
「……はぁ?ほんと気持ち悪いのよ、あんた」
「えっ、マジで?「違うんだ!違うんだよぉ!ビーナスがあまりにも美しすぎて……もう抑えられないんだ、俺のイチモツがあああ!」
バチィィィィィン!!!
天井を突き抜けるほどの雷が炸裂! しかしその熱量以上に、ビーナスの怒りが爆発する。
「もおおおお!! そういうとこが一番ムリなの!!何回言えばわかんの!?バカ神!!」
「いやいやビーナスちゃん、ちょっと待って話を――」
「やってられるか!アンタ一人でそのイチモツでもいじってなさい!」
ピシャァアアアアアン!!
怒りの愛雷をその場に叩きつけ、ヴィーナスは時空の扉を開いて姿を消した。
残されたのは、ポツンと立ち尽くす全知全能の神の哀れな姿
「……ヴィーナスぁ……」
だがその刹那、
ゴゴゴゴゴゴゴ……ッ!!!
空間が裂け、神殿全体に圧倒的な“悪意”の波動が押し寄せる、
黒き裂け目から現れたのは、巨大翼を広げたな闇の王、悪魔王ガイアス!
「……魂の棺桶はあるか?」
「お、おお……ガイアス様。こちらに……ここにございます……!」
ゼウスは慌てて、漆黒の箱を差し出す。それは、神々の魂を封じるという“魂の棺桶”。
だが
「ふん……色恋に溺れ、任務を放棄した堕ちた神よ……貴様はもう不要だ」
「え、えっ?」
ズシャアアアアアアア!!!
次の瞬間、ゼウスの胸を、ガイアスの漆黒の爪が貫いた!
「ガイアス様ァアアアアアアア!!」
全知全能の神神ゼウス、即死
その魂すらも、魂の棺桶へと吸い込まれた。
ガイアスは冷然とした目でゼウスの亡骸を見下ろすと、
棺桶を抱えて奥の部屋の闇に紛れるように隠した。
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そして
ギィ……ギィィィイイイ……
俺たち勇者一行がボスの間へ踏み込んだとき、
そこには冷たく崩れたゼウスの死体と、漆黒の王、悪魔王ガイアスが立っていた。
「ようやく来たな、勇者一行よ……だが遅かったな。“魂の棺桶”は、もうこの場所には存在しない!」
ドンッッ!!!
その瞬間、神殿全体が揺れた。
俺たちは思わず身構える悪魔王ガイアスとの、戦いが始まる!!




