第七話 落ちこぼれクラス、再起動!
カゲツ戦の翌日、
3年ONI組は教室の空気がどんより沈んでいる。
カイ
「俺の炎……迷ってた。
あの人の言うとおりだったよ」
ルビア
「気持ちを入れるほど失敗するなんて……
私、スイーツ作る資格ないよ……」
セラは珍しく机に突っ伏している。
ミナは鍋を握った手が震えている。
生徒全員が、
“愛情を込めるほど味が乱れた”
という痛い現実に打ちのめされていた。
そこに、さっちゃんが静かに登場。
「迷ったっていいんだよ」
生徒たちが顔を上げる。
「人を好きになって、
心が揺れないわけがないでしょう?」
「料理も同じ。
迷いながら、ゆっくり味が整っていくの」
涙をこらえきれないONI組。
個別強化開始、 恋と料理の修行編が始まる。
さっちゃんは、
「このクラスの長所」を最大限に伸ばす個人レッスンを開始。
カイ:炎の制御 × 恋心の理解
カイは火炎族の火を制御しきれていない。
そこでさっちゃんは、
“好きな人に食べてほしい量だけ火を出す”練習を課す。
カイ
「す、好きな……っ!」
一瞬で大爆発。
しかし何度も練習するうちに、
ルビアの笑顔を思い浮かべると火が安定する
という現象が。
ルビア:甘味の安定化 × 告白未満の感情整理
ルビアは“気持ちが溢れると甘さが暴走する”。
さっちゃんは言う。
「甘さは優しさ。その量を決めるのは自分よ」
ルビアは
カイのどんな表情に一番食べてほしいのか”を
ノートにまとめ始め、
結果
優しさが一定の甘さに転換され、スイーツが安定。
シグレ:料理の対象を決める修行
カゲツに指摘された
“誰に届けたいのか分かっていない問題”。
さっちゃんは
「このクラスの誰か一人を思って一品作りなさい」
と課題を出す。
シグレ
「……ミナかな」 と小声。
それを聞いたミナの耳が真っ赤になる。
食材と会話しながら、
初めて“誰かのため”の味が完成する。
ミナ:パワー調整 × 愛される勇気
力が強すぎて鍋を潰すミナ。
課題は
「誰かのために一口分だけ優しく盛り付けること」
シグレが後ろから見守っていて、
ミナはパニックになるが――
極めて繊細にスープをよそえるようになる。
セラ:恋を知らない少女の“疑問”から生まれる味
セラは恋愛経験ゼロ。
感情の扱い方が分からない。
そこでさっちゃんは、
「恋を科学的に分析しなさい」
と宿題を出す。
セラは
“心拍数の変化”“視線”“味覚の相関性”など
表を作り……結果、
彼女なりの「好きの味」の方程式を発見。
彼女のスープは温度管理が格段に成長する。
3年ONI組の全員で一皿を作る
さっちゃんは最後に宣言する。
「迷いも、好きも、全部まとめて一皿にしなさい!」
選ばれたメニューは
魔界では珍しい“愛情シチュー”。
これは人の心をほぐす料理で、
魔族にはほとんど馴染みがない禁断レシピ。
役割分担
カイ:火加減
ルビア:甘味の調整
シグレ:味の基礎整理
ミナ:食材のカット(優しく)
セラ:温度と時間管理
全員の恋心・不安・憧れ
“揺れ”がいい具合に混じるようになる。
完成したシチューは
金色の湯気を立てて
教室いっぱいに広がる。
校内を席巻
試食した教師・生徒全員が驚愕。
ドラゴニス
「破壊の匂いが……しない!?
なのに……ウマい!!」
校長ラーメンモン
「恋の味、沸騰デス!!!」
3年ONI組の評価は爆上がり。
ついに
魔王様の耳にまで届く。
魔王
「ほう……“愛情料理”とな?
面白い。世界料理大会に出す価値があるかもしれぬな」
世界大会編の伏線が張られ、物語は次のステージへ。
さっちゃん先生
450歳の鬼教師。恋愛にも料理にも容赦なくツッコむ。
魔界調理師専門学校に「料理は愛情!」を教えに着任。
【男子生徒】
炎堂カイ(火炎族・熱血)
鍋を燃やす天才。実は恋愛だけ奥手。さっちゃんに憧れ。
影沼シグレ(影魔族・天才調理師)
材料と会話する変人。天才。女子にモテるが本人は自覚なし。
モグラ=バル(地中族・ムードメーカー)
大食い。恋愛相談が異常に得意。揚げ物神。
【女子生徒】
ルビア・スイート(砂糖妖精)
カイに片想い。スイーツ爆発常習犯。
ガルド・ミナ(オーガ娘)
シグレが好き。力が強すぎて器具破壊魔。
セラ・マリーヌ(水霊)
委員長。調理を科学とする理論派。恋愛経験ゼロ。
【学校サイド】
ラーメンモン校長
「恋は沸騰デス!」が信条の謎の鍋魔。
校風はカオスだが腕は超一流。




