第一話 さっちゃん、料理できないのに赴任する
魔界の深層にそびえる
魔界調理師専門学校。
その言葉通り、門から小学生風の少女がずかずか歩いてきた。
さっちゃん先生(450歳)。
魔界の鬼教師として名を馳せる伝説の存在。
性格は毒舌、口撃は暴力級、恋愛成就を勝手にプロデュースする “魔界一の仲人役” としても恐れられている。
さっちゃん
「ここが魔界調理師専門学校……ふふふ、料理は愛情!
愛がない料理なんて、ただの暴力です!」
魔界調理師達
「???????」
校庭では、ちょうど授業中だった。
──すると。
轟ッ!!!!
爆音とともに料理実習棟が揺れた。
炎堂カイ(火炎族)が鍋を振るたび、
炎の柱が10メートル上に上がる。
カイ
「先生ッ!!伝説のさっちゃん先生ですよね!? 本物ッスか!?
うおおおおお! 感動で火力上がるッッ!!」
鍋がマグマになる。
その横では **影沼シグレ(影魔族)**が黙々と包丁を動かす。
切る速度が光速で、材料と心で会話しているらしい。
シグレ
「……今日のキャベツは不機嫌だな。落ち着け」
女子の歓声が飛ぶが本人は無自覚。
後ろでは **モグラ=バル(地中族)**が大地を掘りながら
揚げ物を無限に食べていた。
バル
「相談あるヤツいねえか~?俺、恋愛だけは得意だぜ~!」
が、そこへ。
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!
調理器具が爆散し、巨大プリンが大爆発。
教室ごと瓦解した。
飛び出してきたのは砂糖妖精の ルビア・スイート。
ルビア
「カイくん見てた!?今日の爆発プリンは自信作よっ!」
カイ
「見てねえよっっ!!」
さらに、オーガの少女 ガルド・ミナが器具を握りつぶして叫ぶ。
ミナ
「シグレー!!今日の味どう!?私、鍋五個壊しちゃったけど!!」
シグレ
「……壊すなよ」
そして水霊の委員長 セラ・マリーヌが白衣姿で絶叫する。
セラ
「爆発は化学的にありえません!!
だからやめてくださいって言ってるのに!!!」
誰も聞いていない。
さっちゃん先生は荒れ果てた実習室の中心に立ち、
杖を振り上げた。
さっちゃん
「魔界の料理人どもォォ!!!
料理は!!!
愛情じゃああああああああああ!!!!!!」
衝撃波が発生し、火柱も爆炎も一気に止まった。
生徒たち(震えながら)
「ひ、ひいい……なんか……普通の料理より怖ぇ……!」
こうして
愛情主義のさっちゃん vs 破壊主義の魔界料理人たち
価値観の大衝突が幕を開けるのであった。
さっちゃん先生
450歳の鬼教師。恋愛にも料理にも容赦なくツッコむ。
魔界調理師専門学校に「料理は愛情!」を教えに着任。
【男子生徒】
炎堂カイ(火炎族・熱血)
鍋を燃やす天才。実は恋愛だけ奥手。さっちゃんに憧れ。
影沼シグレ(影魔族・天才調理師)
材料と会話する変人。天才。女子にモテるが本人は自覚なし。
モグラ=バル(地中族・ムードメーカー)
大食い。恋愛相談が異常に得意。揚げ物神。
【女子生徒】
ルビア・スイート(砂糖妖精)
カイに片想い。スイーツ爆発常習犯。
ガルド・ミナ(オーガ娘)
シグレが好き。力が強すぎて器具破壊魔。
セラ・マリーヌ(水霊)
委員長。調理を科学とする理論派。恋愛経験ゼロ。
【学校サイド】
ラーメンモン校長
「恋は沸騰デス!」が信条の謎の鍋魔。
校風はカオスだが腕は超一流。




