エピローグ 北の大地に春が来る恋の開拓、完了!卒業式へ
長い冬がゆっくりと溶けはじめ、
北の大地学園にも春の風が届いた。
白い息は薄れ、校庭の雪は柔らかく、
そして生徒たちの恋もまた、
それぞれの形で花を開こうとしていた。
ひよりとユキト“雪解けの恋”
雪道の上で、ひよりとユキトは並んで歩く。
ひより「……ユキトくん。春って、こんなに暖かかったんだね」
ユキト「いや、ひよりが隣にいるせいだと思うけど?」
ひより「~~~っ!」
耳まで真っ赤になるひよりを見て、
ユキトは笑い、そっと手をつなぐ。
二人は正式に恋人同士に。
しかし、まだぎこちない。
その初々しさが、春風にぴったりだった。
氷室カレン“失恋からの再スタート”
カレンはひよりとユキトを見つめて、
少しだけ唇をかむ。
カレン「……ふん。あれくらいの恋で、私が終わると思わないでよ?」
その横を、ひっそりと大地ハルトが通りかかる。
ハルト「あ、あの……カレンさん。あの、その……卒業式、一緒に写真……」
カレン「え? あなた誰だっけ?」
ハルト「ひどい!!」
でも、カレンはふっと笑って肩を叩いた。
カレン「冗談。行くわよ。
……私、前に進むから」
ハルトは顔を真っ赤にした。
新しい恋の香りが、少しだけ漂っていた。
吹雪エミ“片想いの卒業”
エミは教室の窓際で、春を告げる柔らかな光を浴びていた。
エミ「……ひよりちゃんもユキトくんも、おめでとう。
ねぇ、恋ってさ……失恋しても、こんなに胸が暖かいんだね」
親友たちが駆け寄る。
女子C「エミ、一緒に桜見に行こ!」
女子D「新しい恋、探しに行くわよ!」
エミは笑った。
エミ「うん……もう泣かない。わたしも、次に進むから!」
片想いを終わらせる勇気。
それもまた、青春だった。
凍堂レイジ会長“氷の王子、溶ける”
レイジは一人、誰もいない生徒会室で
雪灯りのランタンをじっと見ていた。
レイジ「……白樺に負けたか。仕方ない」
そこに女子生徒たちがずらり。
女子たち「会長!写真撮ってください!!」「最後に握手を!」
レイジ「な、なんだこれは!?や、やめ……並ぶな!!」
女子たち「キャーーー!会長かわいいーーー!!」
レイジ(……なんだこの敗北感。だが悪くない)
氷の王子は、ゆっくりと人の温かさに慣れ始めていた。
モクじい“裏番人の春”
モクじいはスコップを片手に、桜の枝を見上げていた。
モクじい「春はええのう……わしの腰も少しは軽くなるわい」
雪女カップルが寄り添いながら通りすぎる。
雪女A「モクじい、恋の守護ありがとうね」
雪女B「あなたのおかげで、みんな幸せになったわ」
モクじい「うひゃひゃ、わしは雪山の用務員じゃ。
恋愛は若いもんに任せとる」
しかし、その目は優しかった。
そして卒業式、旅立ちの朝
桜の代わりに、
雪と光が混じる“北の春” の中で卒業式が始まる。
生徒たちは泣き、笑い、抱き合い、
冬を越えた絆を確かめ合う。
そして、さっちゃん先生が壇上に立つ。
「恋愛ってのはね、雪と同じよ」
校舎中が静まり返る。
「降って、積もって、溶けて……
でもまた、必ず降ってくるの」
「雪が消えるのが寂しいって?
大丈夫。
消えた分だけ、次はもっと綺麗に降るわ」
生徒たちの頬に、春雪が舞う。
さっちゃんはニッと笑い――
「さ、青春の続きは外でやりなさーい!」
全校生徒、大拍手!!
ユキトとひよりは手を取り合い、
春の校庭へと踏み出す。
さっちゃん先生、旅立つ
式のあと。
さっちゃんは、春の風に髪をなびかせながら
次の赴任先へ向かって歩き出した。
その背中へ
「さっちゃん先生ありがとうーー!!」
「また来てねーー!!」
「恋愛マスターー!!」
「あなたがいないと誰も付き合えないーー!!」
さっちゃんは振り返り、肩をすくめる。
「まったく……手のかかる子たちね」
でも、その頬はゆるんでいる。
「次の学校でも……
青春、爆裂させてやるわ♡」
春風とともに、彼女は北の大地を去っていった。
『3年ONI組 さっちゃん先生10 北の国から 男女あったかいんだから』
ー完ー
北の大地学園の生徒たち
雪野ひより(女子)—“雪ん子ヒロイン”
白樺ユキト(男子)—“天性の人たらし”
氷室カレン(女子)—“クール系なのに恋愛暴走兵器”
大地ハルト(男子)—“慎重すぎて恋を逃す男”
吹雪エミ(女子)—“ムードメーカーの裏に秘密の恋”
生徒会長・凍堂レイジ(男子)—“氷の王子なのに恋愛に弱い”
雪山の用務員・モクじい— 北の大地学園の裏の番人
雪女カップル(特別出演)この学園の伝説の「恋の守護霊」的存在




