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【ランキング12位達成】 累計57万7千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
第十章 不死身の悪魔王ガイアスと不滅のギャル

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第8話 温泉でバトル

突如、地鳴りが温泉街を襲う。


「ゴゴゴゴゴ……ッ!!」


湯の底が赤く染まり、温泉の地面が裂けた!


「出たぞォォォォ!!敵襲だ!!」

鬼灯館の混浴の温泉の湯けむりの向こうから姿を現したのは


真っ赤な鎧を身にまとった戦士集団マグマ隊士!と天を裂くような咆哮と共に、火口から姿を現す巨大な影ヘルドラゴン!!だった


挿絵(By みてみん)


名前 :マグマ隊士

体力 : 4000

攻撃 : 4500

防御 : 999

素早さ:999


この世界で地獄の火口で鍛えられし灼熱の戦闘集団。赤黒く焼けただれた重装鎧に身を包み、マグマを自在に操る。


名前 :ヘルドラゴン

体力 : 9999

攻撃 : 5000

防御 : 999

素早さ:800 固有スキル ドラゴン 状態異常スキル不可


この世界で全身が灼熱のマグマで覆われ、翼を広げるたびに空が赤く染まる。咆哮ひとつで大地が裂ける。


マグマ隊士は全身を紅蓮の鎧に包んだ、魔界の灼熱兵。

目は灼けた鉄のように赤く光り、手にする大剣からは溶岩が滴っている。


「オレの楽しい温泉旅行を汚すなッ!!」

リスクが風呂桶を投げるが、溶かされるだけだった。


そして、空から――ヘルドラゴン

マグマを纏った黒き竜。

口から放たれる火球は、一撃で町ひとつを焼き尽くすと言われる、灼熱の暴君。


「グゥゥオオオアアアアア!!!!」

温泉街全体が、地獄に変わった。


勇者アルベルトがタオル1枚のまま突撃!


「行くぞォ――双剣奥義・十字爆破斬!」


交差した双剣から、X字の爆裂斬撃が発生!

爆風で吹き飛んだマグマ隊士は壁にめり込んだ。


「さすがアルベルト様……お見事なお風呂殺法ですわ…♡」

マーリンが鼻の下を伸ばす。


空を裂いて飛来したヘルドラゴンの口に、真紅の光が集まり始める!


「灼熱球来るぞー!!逃げろーっ!!」

リスクが叫ぶ。


だが――


「間に合わない!!」

シスターマリアが叫ぶその時!


「――静かにお湯を味わえない獣には、沈黙を。」


湯船の中心に立つ黒魔術師マーリンが、そっと湯に手を入れた。


マーリンの周囲に巨大な魔法陣が展開される。

湯けむりが一瞬で霧氷へと変わり、空気がピキピキと凍っていく!


「水天の祝福を受けし我が水の精霊よ、清き流れとなりて万象を貫かん。現れよ、アクアジャベリン。」


温泉の湯が槍となって天に放たれ、


「水よ――貫け!!」


九本の水の魔槍が、正確無比にヘルドラゴンの体を貫いた!!


「――砕けろ」


マーリンが指を弾いた瞬間、

竜の体は轟音とともに砕け散った!!


ヘルドラゴン、撃破。


【パーティ全員のレベルが2上がった!】


「や……やったのか……!?」

リスクが呆然と呟く。


「ふぅ。これだから温泉は油断ならないわ。寒いわ。」

湯にゆったりと浸かり直すマーリン。 


温泉街を焼き尽くさんとしていたヘルドラゴンは、マーリンの凍てつく水魔法により粉砕された。

空には静寂が戻り、地獄の湯に再び穏やかな湯けむりが立ちこめていた。



ライラとフラちゃんが風呂桶を片付けながら、仲良くつぶやく。


「…終わった、ね…」

「戦って、お風呂入って、また戦って、忙しい温泉旅行だったねぇ…」


リスクたちは宿のロビーに戻った。そこには、なぜか正座して震えている旅館の支配人の姿があった。

「ひっ…ひいいいぃぃぃ……!! ど、どうかお許しをぉぉぉ!!」

頭を床に何度も何度も打ちつけながら土下座している。


「お、落ち着けって支配人。なにがあったんだよ」

リスクが声をかけると、支配人はガタガタ震えながら顔を上げる。


「ゆ、ゆ…勇者さんたち……魔王軍に通報しちゃって……本当にごめんなさいぃぃぃ!!」

 

「通報!?」

ライラとアルベルトが同時に声を上げた。


支配人は涙と鼻水でグシャグシャになりながら、震える手で一枚の紙を取り出した。


それは……


挿絵(By みてみん)


[極悪非道 勇者一行〕と大きく書かれた、魔界の指名手配書だった!通報先は1110番

そこには、笑顔のアルベルトが両手に双剣を持ち、

その横には「民間人を鍋にした」「温泉で魔王を湯煎した」など、とんでもない文言が並んでいた。


「お、お前……悪人にされすぎだろ……」

リスクが顔を覆った。


支配人はガタガタ震えながら、必死で言葉を続ける。


「ち、違うとは思ってたんです!でも勇者の格好してるし、マントも靴もそれっぽいし……!宿が壊されるんじゃって怖くてぇぇ!!」


支配人はさらに深く頭を下げた


「この旅館を壊さないでくださいッ!!出来心だったんです!!客の半分は逃げたけど、いいんですッ!!」


「やれやれ、しょうがないわね」

マーリンがため息をつくと、支配人は震える手で黒い鉄の小さな棺桶を差し出してきた。


「こ、これ……『魂の棺桶』です……!本物です!悪魔王ガイアス様から預かっていたものを……あ、あなた方のような恐ろしい御一行が取りに来るって聞いてて……」

「えっ、オレたちに渡す予定だったの?」

リスクが首をかしげる。


支配人はうなずき、さらに言葉を続けた。


「この棺桶、目的の品ですよね!? 本当にすみませんでした……!!」


「これは確かに……魂が入っている棺桶だわ」

マーリンが棺桶を見つめて、頷く。


支配人は手を合わせながら涙をボタボタと落とした。


「魂の棺桶はあと……残り二つあります。それは……“王家の墓”に……!たぶん、魔界の北にある古代遺跡の中に……!!」


「ありがとな、支配人。壊さないってば」

悪いことしてるみたいだなリスクが笑うと、支配人はバタンと仰向けに倒れ、放心した。


「極悪非道の勇者……だってよ」

アルベルトが苦笑する。


「……まぁ、そう見えるかもね。裸で剣ふるってるし」

ライラがつぶやいた。


「もういっそ本当に極悪になったら?」

マーリンがふっと笑った。


「それで、老舗のお風呂は守れた。それでいいじゃないですか」

シスターマリアがタオルで髪をぬぐいながら言った。


リスクはそっと魂の棺桶を背負い、夜空を見上げた。


「次は……王家の墓、か、って俺たちは墓荒らし?」


俺達はトラックに戻り王家の墓へと再び爆走開始!俺たちは爆走して温泉街をでた。


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