第七話 バレンタイン前哨戦“チョコ争奪ラブサバイバル
バレンタイン前哨戦 “チョコ争奪ラブサバイバル”
北の大地学園の冬は、
バレンタイン前になると突然、学校全体が異常な熱気に包まれる。
理由はひとつ。
「チョコを渡すのは、戦場である」
それが学園の伝統だった。
なぜなら
毎年、男子が逃亡し、女子の追跡部隊が結成され、
校舎が阿鼻叫喚の戦場になるからである。
そして今年も、もちろん……
更なる地獄が始まる。
さっちゃん先生、今年も地獄を宣言
大講堂に集められる全校生徒。
壇上に立つさっちゃん先生は、満面の笑みで杖を振り上げた。
さっちゃん
「さあみんなぁ～！今年も始まるわよ！
バレンタイン前哨戦、“チョコ争奪サバイバル”！！」
生徒
「うわああああ！！！」
「逃げろぉ！！！」
「もうやだぁぁ！！」
男子は逃走開始。女子は追跡開始。
さっちゃんの杖が光り、
パァン！！
大量の氷バリケードが校庭に立ち上がる。
さっちゃん
「愛は逃がさない！！（物理）」
主要メンバーの動き
雪野ひより
ユキトに渡したいが、
人が多すぎて迷子状態。
ひより「ユキトくん…どこ…？
あれ、これ違う棟…え、地下倉庫！？こわい！？」
方向音痴が致命傷。
白樺ユキト
もはや逃げるだけで体力が尽きる。
廊下の角を曲がるたびに
女子がズラァァァと待ち伏せしているという地獄。
ユキト
「なんで毎年こうなるんだよぉぉ！？
誰か助けて！！」
氷室カレン
ひよりを出し抜くため、ガチ戦闘モード。
カレン
「覚悟なさい、ユキト。
逃がすと思って？」
女子を蹴散らしながらユキトを追う。
大地ハルト
エミにチョコをもらう気満々だが
ハルト「俺は逃げない…！
エミの想いを正面から受け止め――」
横から男子が飛び込んできて巻き添えで壁に激突。
ハルト「ぐへぇっ！！」
慎重すぎて逆に危険。
吹雪エミ
ハルトを追うが、周囲がカオスすぎて近づけない。
エミ
「ハルト～！なんで倒れてるの！？
ああっ、誰が踏んでるの！！」
ムードメーカーは今日も災難に巻き込まれる。
生徒会長・凍堂レイジ
王子キャラのため、女子の影響力が規格外。
レイジ「やめろ、来るな！
順番を守れ！！！！」
無理である。
彼の通る道は常に女子の群れで雪崩状態。
伝説の存在・雪女カップルも乱入
突然、校内に冷気が満ちる。
雪女「恋が乱れているわ……整えましょうね」
雪男「（コクコク）」
雪女が扇子をひらりと動かすと
女子の暴走が一時停止し、
男子の逃走スピードが緩やかに……
見整ったように見えるが、
実際は“より効率よく恋がぶつかる空間”へと変化しただけである。
そして、モクじい参戦
校庭の片隅で雪かきをしていた
伝説の用務員・モクじいがついに動く。
モクじい
「ふぉっふぉっ。
毎年毎年、この雪祭りはうるせぇのぉ。
……よし。ワシもやるか。」
次の瞬間。
地面が揺れた。
生徒
「え！？地震！？」「違う！！なんか来る！！」
モクじいは巨大な雪の塊を片手で持ち上げ、
女子の誘導ラインに投げ込む。
ズオォォォンッッ！！
女子たち「ぎゃああ！？動線が変わった！！」
男子たち「逃げ道ができた！！」
なんとモクじい、
男子側を助け始める。
モクじい
「若いもんの恋は応援するが、
ワシは“追われるより逃げる側”が好きじゃ」
ユキトは校舎裏に追い詰められていた。
ひよりとカレンが同時に到着。
ひより「ユキトくんに…渡したいの…！」
カレン「ユキトは私のものよ！！」
さらにエミ、ハルト、レイジまで集まり、
完全に修羅場。
すると、さっちゃん先生が空から降りてくる。
さっちゃん
「はいストーップ！！
バレンタイン前に“告白渋滞”はダメ！」
杖を振る。
ドォォォォン！！！
霜の陣が広がり、生徒全員がピタッと静止する。
さっちゃん
「本番は バレンタイン当日。
今日は前哨戦。
チョコは明日、正式に渡しなさーい！」
生徒たち
「ええええええええ！！」
凍った校庭を眺めながら、モクじいはつぶやく。
モクじい
「恋はのぉ、
追うべき時と、
引くべき時があるんじゃよ。
……まあ、お主らには難しいかの」
雪女カップルが横に並び、微笑む。
雪女
「バレンタイン当日……
きっと“運命”が動きますね。」
北の大地学園の生徒たち
雪野ひより（女子）—“雪ん子ヒロイン”
白樺ユキト（男子）—“天性の人たらし”
氷室カレン（女子）—“クール系なのに恋愛暴走兵器”
大地ハルト（男子）—“慎重すぎて恋を逃す男”
吹雪エミ（女子）—“ムードメーカーの裏に秘密の恋”
生徒会長・凍堂レイジ（男子）—“氷の王子なのに恋愛に弱い”
雪山の用務員・モクじい— 北の大地学園の裏の番人
雪女カップル（特別出演）この学園の伝説の「恋の守護霊」的存在
