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【ランキング12位達成】 累計57万7千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
第十章 不死身の悪魔王ガイアスと不滅のギャル

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第7話 地獄の湯に魔手迫る。

魔界にそびえる赤黒き火山群

その裾野に広がる、湯けむりの楽園「地獄の湯」。

《デッドエンド煌号》は真っ黒な煙を巻き上げながら、ギラギラと光る派手なボディで到着した。


「ついに着いたか……地獄の湯」

リスク)はサングラスを直しながら、肩からカメラを提げている。なぜか?

俺たちは今、有名な魔族を殺しまくっている犯罪の指名手配犯だからだ。魔界では賞金首扱い。


だから――


「……これは映画の撮影です!我々は俳優とスタッフです!勇者っぽく見えても演技です!」


「カットォ〜!リスク監督、次は温泉街のロケですか〜?」

ライラがそれっぽい演出でノってくれる。


「……あれ?あれって勇者じゃね?」

「マジ?本人じゃね?」

温泉街の客たちがざわつき出すが、


「違いますぅ〜!撮影ですぅ〜〜〜!!」

ライラの圧倒的“観光ギャルパワー”で何とか乗り切る。


 

俺はカメラマンのフリをしながら、魔界の温泉まんじゅうをパクリ。

「うまい……!!これは土産で人間達にも売れる……!


「……これで資金が稼げるな。土産物ルートを押さえれば……」

魔族視点で商売のことを考え始める自分に、ちょっと引いた。


その間にフラちゃんが宿の手続きを済ませてくれていた。


「リスクさん、宿とったよ〜!鬼灯館(きとうかん)ってところ。支配人の魔人は超いい魔人だったよ!」

「泊ってもイイヨ〜。お金も払って……もらわなくてもイイヨ〜♪」

「……いや、それはこっちが不安になるヤツ……」


しかし、束の間の安堵もつかの間――


悪魔王ガイアス。


反逆のバルドルは力だけの頭は小学生のバカだったが、ガイアスは違う。

冷静で狡猾。すでに俺たちの行動を読んでいるかもしれない。


「……こんな場所で、のんびりしてて大丈夫か?」


「リスクさん……今日は、休みましょう」

振り返ると、シスターマリアがタオルを抱えて微笑んでいた。

その清らかすぎる表情に、俺の中の不安が、少し溶けた気がした。

 

鬼灯館(きとうかん)の混浴露天風呂】


挿絵(By みてみん)


「地獄なのに……極楽、極楽〜〜〜!」

湯船の岩に頭をもたせかけ、全裸でご満悦の男がひとり。

勇者アルベルトだ。


「ふふ……魔界の湯、思ったより悪くないわね」


「マーリン……あんた、混浴でそのポーズは犯罪だぞ……」

マーリンの美脚とセクシー姿と温泉は両立すると俺は思った。


「混浴とは……これは神への背信では……でもぉ……」

シスターマリアがほのかに頬を染めている。罪深い。


「えへへ〜!ここの泥パック、マジで肌つるつるになる〜!」

ライラはガイド帽をタオルに替えて、美容に全力。


「ここのお湯、魔力が回復するな。フラちゃん、どう?」


「うん、魂の芯まで、あったかいよ……うっとり……」


湯けむりがゆらゆらと漂う中、岩風呂に肩まで浸かった俺とマリア。


「……マリア、綺麗だ」


「修道院ではシャワーばかりでしたから……こんなに温かいのは、初めてかもしれません」


湯気越しに見るマリアの笑顔。

この一瞬が永遠なら、どれほど幸せか……と思ったそのとき。



ゴオォォォォォオオオオォッッ!!!


突如、山の向こうに赤い閃光――

そして、響き渡る不吉な咆哮!!


「な、なんだ!?地鳴り……いや、これは魔力反応……!!」


湯けむりの空が真紅に染まる――


 「リスクさ〜ん!来たよぉー!敵!!! イイネェー」

フラちゃんの声が木霊する。


「また!?せめて脱衣所に戻る時間をくれええ!!」


マグマ隊士とヘルドラゴンの襲来が迫っている。

温泉はもはや安息の地ではなくなる―だが、俺たちはここに来た意味を見失わない。


「行こう、マリア。俺たちの戦いは……どこにいても、続いてるんだ」


「ええ、リスクさん……闘いは服を着てからにしましょう!」


魔界の温泉地から始まる、新たなバトルが、今、幕を開ける!

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