第15話 世界断層戦線─世界崩壊まで、残り “10秒”
大地が悲鳴を上げて裂け、
天空が上下反転し、
世界そのものが「消える準備」を始めていた。
復讐の亡骸は、
両腕を広げ、世界を抱き潰すように呪力を膨張させる。
その一撃は 大陸そのものを消滅させる。
アイゼンが震える腕で杖を構え、絶叫する。
「みんな!!最後の切り札を使う!!
ここで止める!!止めるしかない!!」
残り 9 秒
アイゼンハワードの切り札
古代魔装式起動
杖に刻まれた古代ルーンが全て光を放ち、
アイゼンの魔力が数百倍に膨れ上がる。
「この術は……一度使えば、二度と使えない……
後悔はない!!」
血を吐きながら魔法陣を展開する。
ルアーナが叫ぶ。
「アイゼン!魔力の負荷が危険値を超えてる!!死ぬ気!?」
「死ぬ気じゃない……
“みんなで生きるためにやるんだ”!!」
残り 7 秒
リュカの切り札
極限武装解放
リュカの背中から光の推進翼が吹き上がる。
「こっからは……スピードの勝負だろ!!」
世界が止まったかのような速度で駆け抜け、
ヴァンキッシャーの胸元に一撃を叩き込む!
ドガァァァァァッ!!!
しかし黒い骨の装甲に阻まれ、
拳が砕ける。
「ちっ……痛ぇな!!でも止まらねぇ!!」
残り 6 秒
ルアーナの切り札
王冠魔力逆流装置強制起動
装置を地面に叩きつけ、
ルアーナが泣きながら叫ぶ。
「これ以上王冠に呪力を供給させない!!
私たちが……世界を守る!!」
装置が悲鳴を上げながら起動し、
王冠の呪力を逆流させて停止させ始める。
闇の巨体がわずかにたじろぐ。
残り 5 秒
死神レイヴの切り札
魂喰らいの大鎌
「はぁ……はぁ……
いいねぇ……死の匂いが濃くなってきた……!」
大鎌を肩に担ぎ、黒い炎を纏う。
「スカーレット……
アンタが悲しいのは分かってんだ……
だがもう……終わらせようぜェ!!」
レイヴが影エネルギーを一点に爆発させ、
ヴァンキッシャーの動きを一瞬止める。
残り 3 秒
四人の最終奥義
アイゼンが叫ぶ。
「総攻撃だ!!
ルアーナ!リュカ!レイヴ!!
これが最後の“生還ルート”だ!!」
リュカ
「わかったよ……死ぬ気のやつに、勝てるわけねぇよ!!行くぞ!!」
ルアーナ
「スカーレットさんを……もう苦しませない!!」
レイヴ
「全部終わらせる一撃、叩き込もうぜェ!!」
残り 1 秒
アイゼンが詠唱の最終行を叫ぶ。
「古代魔法――
《終焉断層崩壊・セラフィックゼロ》!!!」
四人の力がひとつに重なり、
巨大な白い刃となって世界を斬り裂くように放たれる。
ヴァンキッシャーが咆哮する。
「ァァアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
黒い翼が砕ける。
呪いの核が割れ始める。
涙のような“赤い光”が零れる。
それは
まだスカーレットの魂の一部だった。
空を覆う呪いが破れ、
世界が揺らぎながらも「残る」。
四人は地面に倒れ込み、
あらゆる力を使い果たした。
そしてそこには――
復讐の亡骸の残骸
燃え尽きた骨の影。
その中心に、
“復讐に囚われた少女の涙”だけが残っていた。
アイゼンがかすれた声で呟く。
「……復讐は……何も救わない……
ただ……次の悲劇を呼ぶだけだ……」
風が吹き抜け、
破壊された世界に静寂が訪れる。
物語は、静かに幕を閉じる。




