第5話 廃墟要塞とモルグリムの牙
荒野のど真ん中に、ひときわ巨大な影があった。
かつて戦争の最前線だったという“廃墟要塞”。
そいつが今は、風にさらされ、鉄骨がむき出し、まるで「触ると噛みつくぞ」と言わんばかりに不気味にそびえ立っていた。
「おいおい、ここに“王冠の欠片”があるって話、信じていいんだろうな?」
死神レイヴがニタァ~と笑いながら歩く。
砂漠の荒野に立つ廃墟要塞。その壁にかすかに残る王国の紋章を見つめながら、
アイゼンは杖を握り締める。
「また厄介な連中と戦う羽目か……」
背後ではルアーナが計器を弄り、リュカが慎重に足を踏みしめる。死神レイヴはイヒヒヒと笑いながら肩を揺らす。
突如、地響きが走り
魔獣モルグリムが砂塵の渦を伴って飛び出してきた。
牙は鋭く、爪は鋼鉄の如し。踏みしだくたびに大地が裂ける。
「でけぇ……でもこれ、燃えそうな匂いだな!」
レイヴが楽しげに叫ぶ。
戦闘開始!
モルグリムが吠え、廃墟の柱を破壊。砂と瓦礫が飛び散る。
アイゼンは杖を振るい、古代魔法の結界を展開。巨大な光の網がモルグリムを一瞬縛る。
「ここからは私たちのターンよ!」
ルアーナは即座に罠解除装置を稼働。金属と魔力が轟音を立てて動き出す。
リュカは魔獣の前に立ちはだかり、囮として巧みに誘導。
モルグリムはリュカに狙いを定め、巨大な爪を振り下ろすが、背後のレイヴがぴょんと飛び、爪の軌道をわずかにずらす。
「イヒヒヒ、ざまあみろ!」
魔獣の怒りで要塞は崩れ、砂塵の嵐が巻き起こる。
瓦礫の下で王冠の破片が光り、アイゼンがそれを見逃さない。
「ルアーナ、今だ!」
ルアーナは装置を巧みに操作し、古代魔法の罠を解除。
モルグリムは光の網に再び足を取られ、咆哮をあげる。
リュカが飛び退き、モルグリムの視線を翻弄。
死神レイヴは爪の間をスルリとくぐり抜け、魔獣の腹をくすぐるかのように翻弄。
ルアーナは息を止め、指先を微妙に動かして装置を操作する。古代魔法の結界は不安定な振動を伴いながら光を放ち、モルグリムの巨体を捉える。
「いける……いま!」ルアーナの声が砂煙にかき消される。
モルグリムは足をもがきながら、振り上げた巨大な前脚で地面を叩く。砂塵が渦を巻き、要塞の壁が軋む。
そして咆哮――
「グォオオオォォォオオッッ!!!」
その声は低く、地響きを伴い、砂嵐を引き裂くように荒野に轟いた。まるで地面そのものが呻くようだ。耳をつんざく咆哮は骨まで振動し、周囲の瓦礫が飛び散る。
しかし、モルグリムの足は光の網に絡め取られ、バランスを崩して大きく後ろにひるむ。
「クッ……!」魔獣は唸り声を上げながら、尻尾を振り回し、結界を破ろうともがく。
ルアーナは手元の装置のダイヤルを微調整し、結界の光を強める。光の網がモルグリムの巨体に吸い込まれるようにまとわりつき、魔獣はさらに咆哮を上げる――
「グルォオオオッッッ……ガァァァオォォッ!!!」
その度に砂嵐が巻き上がり、瓦礫が空中を舞い、荒野全体が生きているかのように揺れる。
リュカは目を細め、モルグリムの動きを冷静に読んで誘導。死神レイヴはイヒヒヒと笑いながら、咆哮に合わせて魔獣の背後を飛び回る。
荒野のど真ん中に、ひときわ巨大な影があった。
かつて戦争の最前線だったという“廃墟要塞”。
そいつが今は、風にさらされ、鉄骨がむき出し、まるで「触ると噛みつくぞ」と言わんばかりに不気味にそびえ立っていた。
「おいおい、ここに“王冠の欠片”があるって話、信じていいんだろうな?」
死神レイヴがニタァ~と笑いながら歩く。
砂漠の荒野に立つ廃墟要塞。その壁にかすかに残る王国の紋章を見つめながら、
アイゼンは杖を握り締める。
「また厄介な連中と戦う羽目か……」
背後ではルアーナが計器を弄り、リュカが慎重に足を踏みしめる。死神レイヴはイヒヒヒと笑いながら肩を揺らす。
突如、地響きが走り
魔獣モルグリムが砂塵の渦を伴って飛び出してきた。
牙は鋭く、爪は鋼鉄の如し。踏みしだくたびに大地が裂ける。
「でけぇ……でもこれ、燃えそうな匂いだな!」
レイヴが楽しげに叫ぶ。
戦闘開始!
モルグリムが吠え、廃墟の柱を破壊。砂と瓦礫が飛び散る。
アイゼンは杖を振るい、古代魔法の結界を展開。巨大な光の網がモルグリムを一瞬縛る。
「ここからは私たちのターンよ!」
ルアーナは即座に罠解除装置を稼働。金属と魔力が轟音を立てて動き出す。
リュカは魔獣の前に立ちはだかり、囮として巧みに誘導。
モルグリムはリュカに狙いを定め、巨大な爪を振り下ろすが、背後のレイヴがぴょんと飛び、爪の軌道をわずかにずらす。
「イヒヒヒ、ざまあみろ!」
魔獣の怒りで要塞は崩れ、砂塵の嵐が巻き起こる。
瓦礫の下で王冠の破片が光り、アイゼンがそれを見逃さない。
廃墟要塞の砂塵が巻き上がる中、モルグリムの咆哮が荒野を裂く。
グォオオオォォォオオッッ!!!
地面が振動し、瓦礫が空中へ舞い上がる。砂嵐の中、仲間たちは互いの気配だけで位置を確認する。
ルアーナは装置のダイヤルを操作し、光の網を強化。「あと少し……!」
モルグリムは巨大な前脚を振り下ろし、光の網を破ろうと暴れる。
「クッ……!」
モルグリムの尻尾が跳ね、砂を巻き上げ仲間たちの視界を遮る。
リュカは俊敏に飛び出し、モルグリムの前脚を誘導して結界の光に誘い込む。
「気をつけて……!」アイゼンが杖を振ると、古代魔法の罠が地面に光の柱を作り、魔獣の動きを封じる。
死神レイヴはイヒヒヒと笑いながら、モルグリムの背後で宙返りし、突進してくる尻尾を巧みにかわす。
モルグリムは怒り狂い、咆哮を連発。
グルォオオオッッッ……ガァァァオォォッ!!!
振動で砕けた瓦礫が仲間たちの足元に落ち、ルアーナは装置を調整しながら必死に光の網を保つ。
「先生、足元が危ないです!」
ルアーナが叫ぶと、アイゼンは杖で砂塵を払うように魔法を放ち、仲間を守る。
モルグリムの巨体が光の網に絡まり、咆哮と暴れで網がきしむ。ルアーナは装置をフル稼働させ、光の柱を増幅。
「今だ、リュカ、誘導して!」アイゼンの指示にリュカが応じ、モルグリムを廃墟の狭間へ誘導。
モルグリムは暴れながらも、光の網に絡まり、前脚で地面を叩く。
グォォオオッッッ……ガアァァッ!!!
咆哮が砂塵を吹き飛ばし、要塞の壁に反響する。仲間たちは身を低くしながらも、諦めず動く。
アイゼンは杖を高く掲げ、最後の古代魔法を発動。光の網が天井から垂れ下がるように強化され、モルグリムを完全に拘束。
死神レイヴはイヒヒヒと笑い、モルグリムの頭上を飛び回り、咆哮に合わせて囮となり最後の動きを封じる。
モルグリムは咆哮を上げるも、足取りが鈍くなり、ついに光の網に絡まったまま大地に崩れ落ちる。
「やった……!」ルアーナが息をつき、リュカがモルグリムの安全を確認。
アイゼンは杖を下ろし、砂塵の中で四人を見渡す。
そして、崩れた要塞の瓦礫の下に王冠の破片が輝く。
「これで……一歩、王冠の全貌に近づいたな」
アイゼンの声は疲れと安堵を帯びていた。
死神レイヴはイヒヒヒと笑い、飛び跳ねながら破片を確認。
「フフフ……まだまだ、この旅は終わらんぜ、アイゼン先生!」
荒野に沈む夕日が、砂嵐と瓦礫の上で四人の影を長く伸ばす
世界規模の危険に立ち向かう旅の幕開けを告げる光景だった。




