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【ランキング12位達成】 累計57万8千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
「アイゼンハワード最後の旅6 〜血塗られた王冠を追え〜」

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第1話 廃城より現る亡霊

夜風がざわめく荒野。

暗い廃城の影に、ひときわ軽やかな足音が響く。


「アイゼン先生、さあ行きますよイヒヒヒ!」

顔を変装した青年姿の死神・レイヴが、楽しげに笑いながら先を歩く。


後ろでは、杖をついた老人アイゼンハワードがため息交じりにぼやく。


「……ああ、レイヴ、夜中に死人に会えとか、何で俺を呼ぶかな……」

シワだらけの顔をしかめながら、杖をカツンと床に打ち付ける。


「いやいや、アイゼン先生、今回の方は特別ですってイヒヒヒ!」

レイヴは指を鳴らし、月明かりを背にニヤリ。


背後でルアーナ(17)が懐中電灯を振りかざし、


「先生!本当に夜の廃城ですか!?怖すぎです!」


リュカ(15)は小さな声で、


「せんせ……お化け……出ませんように……」


「出るよ。」

アイゼン先生は軽く杖を振り、渋い声で呟く。


「出ないわけないだろう。こういう城は、必ず何か企んでるもんだ。」


レイヴはイヒヒヒと笑いながら、肩をすくめる。


「さあ、先生、覚悟してくださいイヒヒヒ。」


廃城に到着


荒れ果てた玉座の間。

月明かりが差し込み、壁のひび割れが不気味に浮かぶ。


「ここが……会いたいって奴の居場所か。」

アイゼンハワードは杖を床に打ち、慎重に歩く。


「そうイヒヒヒ……亡霊さんですよイヒヒヒ。」

レイヴは指を鳴らして笑う。


ルアーナは緊張で肩を震わせながら、


「先生、怖いです……!」


「まあまあ、大丈夫だ。」

アイゼンは渋く言うが、目は冷静に周囲を探る。


「……俺も若くはないんだ、怖いもんは怖い。でも確認は必要だ。」


リュカは小声で、


「先生……僕、死神と一緒でも……いいです……」


「そうか、よし。」

アイゼン先生は杖を構え、優しく頷いた。


闇の奥から低い声が響く。


「……来たか、魔導捜査官……」


その瞬間、鎧姿の亡霊が月光に浮かぶ。

背筋がぞくりとするルアーナとリュカ。


「裏切りの果てに……私は殺された。

 奪われた 血塗られた王冠 を取り戻せ……

 そして復讐を果たせ……」


「ふう……また死人か。」

アイゼン先生は杖をトントン叩き、渋い顔でため息。


「死者の復讐ほど面倒なものはない……でも、確認しないと始まらん。」


レイヴはイヒヒヒと笑いながら肩をすくめる。


「はいはい、先生……死霊の誘いに乗るのは、面倒だけど楽しいですよイヒヒヒ。」


「殺すぞ。」

アイゼン先生は杖を握り直した。


ルアーナは少し安心したように

「先生……はい」と小さく頷き、


リュカも震えながらも

「せんせ……行きましょう」と付いて行く。


こうして魔導捜査官アイゼンハワードと、弟子二人、そしてイヒヒヒ笑う死神レイヴの、

“血塗られた王冠”奪還の旅が、夜の廃城から始まった。


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