第八話 緊急慰問ライブ! 地獄の孤児院に“笑い”を届けろ!!
魔界の果て、
“絶望の谷”に建つ古びた石造りの施設
地獄の孤児院『スマイルレス・ホーム』。
ここは 笑顔を忘れた子どもたち が暮らす場所。
日々の労働、魔界の過酷な環境。
そして失った家族。
子どもたちの顔は暗く、声も弱い。
そんな中
校長ガグ=バクラ
「MNCよ。お前たちの初の“外部舞台”はここだ。
笑わせてみろ。孤児院の子らを。」
生徒たち
「えぇぇぇ!? いきなりハードすぎる!!」
舞台裏に漂う緊張と混乱
舞台袖
ボルカ
「ヤバいっす先生、俺今日絶対緊張で燃やしますよ……」
クール=リース
「……僕のスベり芸、ここではマジで凍死するかも……」
スカル兄
「俺、骨、今日だけは折れないで……!」
ふぅこ
「幻術……子ども相手だと泣かせるんだよなぁ……」
ラミリス・バニー
「期待値分析完了。
この会場の“笑い確率”は 21%。
低いですね……」
さっちゃん
「泣き言いわないで!
数字じゃなくて心で笑わるの!!
絶対に子どもらに笑顔見せてあげて!」
ステージ開始!
だが混沌は秒で始まった。
1組目:ボルカ×クール=リース
ボルカの炎が暴発、クールが慌てて氷で消火!
しかし氷が広がり
ステージ床がスケートリンク化。
客席の子どもたちはビビり顔。
クール
「……ごめん……舞台……溶けない……」
さっちゃん(裏方)
「ちょっと待て! 床暖魔法で溶かす!!」
(杖ビームで一瞬で床を通常化)
2組目:スカル兄
「俺の肩外れ芸、見せてやるぜぇー!」
ゴキッ!!
孤児院の空気が一瞬で凍る。
子どもたち
「(泣きそう)……こ、こわ……」
スカル兄
「待て! 違う! ホラーじゃなくてギャグだから!!」
さっちゃん
「このバカァ!! 元に戻れ!!」
(杖で骨を瞬時にハメ直す)
子どもたち
「……すごい!」「はやーい!」
※ここで少し笑いが生まれる
3組目:キツネ乃ふぅこ
可愛い見た目で登場した瞬間、子どもたちが期待する。
ふぅこ
「みんな~今日は幻術の世界へご案内!
……とか言ってビビらすつもりねぇし?」
(幻術:子どもたちの頭上に巨大タヌキが出現)
子どもたち
「タヌキかわいい!!!」
「わーーー!!!」
ふぅこ
(よしウケてる……!)
だが調子に乗って炎タヌキを出した瞬間――
子どもたち
「キャアアアア!!(泣)」
さっちゃん
「なんで怖いの混ぜんねんアホ!!!!」
(幻術撤回→かわいいキツネに変更)
子どもたち
「かわいい~♪」
ふぅこ
「さ、さっちゃんありがと……!」
そして
トリを任されたのは炎獄族のボルカ。
ボルカ
「俺……今日だけはやる……!
だって子どもたち、マジで笑ってほしいから!」
ボルカの胸の炎が静かに揺れる。
ふぅこ
「行ってこい、アホ火炎ボーイ!」
スカル兄
「骨折って応援するぜ!」
さっちゃん
「折るな!!」
ボルカ
「じゃ、みんな……いくよ!!
これが……俺の……!」
パァァァァァァッ!!!
炎は暴発せず、ふんわり丸く舞い、
客席の頭上で小さな 炎のハート型 を描いた。
子どもたち
「……わぁぁぁぁぁ!!!」
「きれい!!!」
「すごい! こわくないよ!!」
さらにボルカは
火炎で自分の頭だけ焦げるギャグを披露。
ボルカ
「俺の脳みそ、今日もスカスカで~す!!」
子どもたち
「アハハハハハ!!!」
場内、爆笑の渦。
孤児院に、数年ぶりの“笑い声”が満ちた。
さっちゃん(裏で泣きながら)
「やったわ……この子ら……
本当にやりとげたわ……!」
子どもたち
「また来てね!」
「笑ったの久しぶりだよ!」
「さっちゃん先生も好き!!」
ボルカ
「……俺、今日……初めて……
“笑いで誰かを救えた”気がするっす……」
さっちゃん
「それよ。
それが“芸人”の一歩目よ……!」
それぞれの個性は武器
失敗は笑いに変わる
舞台で融合すると“本物の笑い”になる
笑顔を忘れた場所でも、笑いは届く
孤児院に笑顔があふれ、ほんの少しの光が差した。




