第二話 初めての漫才発表会、舞台は失敗の嵐
MNC養成所、広大な舞台。
初めての漫才発表会の日、3年ONI組の生徒たちはペアを組み、観客の前に立つ――いや、立つどころか命がけの舞台である。
ボルカ・ハッパーとクール=リースのペアが最初の登場。
ボルカ、緊張で火炎ボールをプスプス放つ。
「うおお、熱っ――!」
客席の一角がモクモクと煙り、クール=リースが氷魔法で応戦するも、舞台全体がスベり、氷の上で自滅。
スカル兄はボケを決めようとした瞬間、骨が外れて倒れ込む。
「お約束の……崩壊ぅ!」
観客は悲鳴と笑いの境界で固まる。
その時、さっちゃん先生が杖をブンッと振る。
「おい! 舞台を焼くな、凍らすな、粉砕すんな!」
杖の魔力で炎を制御、氷を溶かし、スカル兄の骨を元通りに
「ふぅ、これで誰も死なずに笑えるな」
ボルカは赤面、クール=リースは床で滑りながらも必死にネタを続行。
「笑いは……氷の上でも……耐え……る……」
「耐えるんじゃねぇ! 観客を笑わせろバカタレ!!」
さっちゃん先生が全方位ツッコミを炸裂させ、舞台のカオスを制御する。
次のペア、スカル兄とキツネ乃ふぅこ。
ふぅこが妖術で幻術を放ち、観客半分を異世界に飛ばす。
「きゃー、どこ行くの!?」
「いや、こっち来い!!」
杖を振るさっちゃん、ふぅこに毒舌全開。
「アンタ、笑わせるつもりか、それとも観客を誘拐するつもりか!!?」
発表会は混乱の連続だ。
だが、さっちゃん先生は生徒たちにこう言う。
「見ろ! 失敗こそが舞台対応力を育てる。観客の笑いと焦りを読め! 間とテンポを感じろ! そして、何より楽しめ!!」
ボルカは火炎ボールを制御できるようになり、クール=リースは氷でギャグのアクセントをつける技を覚える。
スカル兄は骨を外さずにボケを連発できるようになり、ふぅこも幻術を笑いに活かす術を掴む。
観客は小笑。
舞台は混沌だが、確かに笑いの魔力が満ちている。
最後にさっちゃん先生は杖を掲げ、教室全体に響かせる。
「さあ、みんな! 初めての失敗を恐れるな! 舞台で死なずに笑いを作れる者こそ、本物の芸人だ!!」
3年ONI組、今日も砂埃と笑いの中で、少しだけ成長した。まだまだ未完成だけど、確かに面白い!
生徒たち(魔界養成カルチャー・MNC)
ボルカ・ハッパー(炎獄族)
特技:舞台で火炎芸(炎を吐く)
弱点:緊張すると観客にファイアボールを投げる
特徴:ツッコミされると炎の色が変化(赤→青→白→黒)
さっちゃん評価:
「緊張で劇場燃やすなバカタレ!!」
クール=リース(氷霊族)
特技:氷魔法で“スベり芸”を物理再現
弱点:ギャグ外すと舞台が凍って崩壊
性格:やる気ほぼゼロ、口数少なめ
口癖:「笑いとか……溶けるし……」
スカル兄(白骨族)
特技:自称“魔界の松本人骨”、ボケ担当
弱点:骨が外れやすく、医療事故が多い
特徴:「お約束の崩壊」が得意技、補助者必須
キツネ乃ふぅこ(妖狐族)
特技:妖術トリックスター芸、幻術で観客半分異世界へ
弱点:可愛いのに口が悪く、さっちゃんと舌戦で場が凍る
さっちゃん評価:
「アンタ私に勝てると思うなよ??」
ゴブ郎(ゴブリン界のプリンス)
特技:ゴブリンジョーク
弱点:圧倒的につまらない
特徴:本人だけは天才だと思い込む
校長の評価:
「お前は逆にすげぇよ……笑いゼロって才能だぞ」
ラミリス・バニー(AI式魔人)
特技:量子演算でネタの最適解を瞬時に算出
弱点:完璧すぎて逆に受けない、計算がロボット的
口癖:「そのボケの期待値は0.62……改善が必要です」
ウィステリア(月影族)
特技:お笑いを“詩”として表現する文系芸人
弱点:ネタが暗すぎて観客のメンタルが欠ける
特徴:たまに名作を生むが、ほぼホラー




