プロローグ さっちゃん先生 お笑いの世界へ?
さっちゃん先生
魔界界隈で伝説の鬼教師、ツッコミ杖を片手に毒舌を飛ばす小悪魔少女が、ある日突然、魔界教育庁からの辞令を受け取った。
「次の赴任先は
MNC(魔界養成所カルチャー)、3年ONI組、お笑い芸人養成コースです」
さっちゃんは一瞬、目を疑った。
お笑い?芸人?この私が?
しかも“生徒たちはクセ強すぎ”のクラス?
しかし、魔界の神託は厳かに告げる。
「世界の笑いが弱まれば、魔力の循環が止まる」
つまり、笑いこそが世界を救う鍵なのだ。
さっちゃん、杖を握りしめ、決意する。
「よし、ぶっ飛んだ問題児ども、覚悟しろよ――!」
3年ONI組は、まさに地獄のようなクラスだった。
舞台が燃える――火炎芸人ボルカ・ハッパーの緊張ボケ。
舞台が凍る――氷霊族クール=リースの物理スベり芸。
舞台が崩れる――白骨族スカル兄の“お約束の崩壊”。
舞台が転移する――妖狐族キツネ乃ふぅこの幻術トリック。
舞台の空気が死ぬ――AI式魔人ラミリス・バニーの完璧計算漫才。
先生への反逆――ふぅこによる小悪魔的ギャグ攻撃。
そして何より、笑いを産まないその混沌こそが、さっちゃんの挑戦だった。
朝の魔界学園。
3年ONI組の教室は、すでに騒然としていた。
ボルカ・ハッパーは火の玉を手のひらで弾きながら、「舞台の炎は任せろ!」と自信満々。
クール=リースは窓際で氷の結晶を作りながら、ぼそりと「笑いとか……溶けるし……」と呟く。
スカル兄は骨が外れたまま机に座り、「俺は…今日もボケ倒すぜ」と骨をつなぎ直していた。
キツネ乃ふぅこは鏡で自分の幻影をいじりながら、「また私が一番目立つ番ね」と不敵な笑み。
ラミリス・バニーはノートパソコンを抱えて、「今日のネタの成功率は0.87……」と冷静に計算中。
そこに、さっちゃん先生が颯爽と登場。
ツインテールを揺らし、ランドセルを背負った小悪魔少女の姿。
杖を掲げ、毒舌全開で一喝する。
「おいおい、落ち着け落ち着け!
火を吐くな、舞台凍らせるな、骨を崩すな、幻術で客を飛ばすな、計算ばっかりすんな、ふぅこは私に勝てると思うな!」
生徒たちは一瞬、静まり返る。
しかし、次の瞬間には誰もがケタケタ笑い、教室は爆発的な混乱に包まれる。
さっちゃんは舌を巻きながらも心の中で微笑む。
「よし、ここから面白くしてやる……!」
校長ガグ=バクラは演壇から高らかに宣言する。
「今年のお笑い魔界M-1グランプリ、3年ONI組から優勝者を出す!」
こうして、笑いと友情、混沌と破壊の学園生活が本格的にスタートする。
今日も舞台は、魔界お笑い地獄。いや、青春コメディの戦場となるのだった。




