第8話 最後の暗号 、死神の微笑み
砂漠都市バハル=オールド。
敵幹部の最終計画が動き出すその瞬間、
砂漠の奥から吹いた風は、まるで“幕引き”の合図だった。
都市中央の巨大魔導塔。
赤い魔力線が走り、空が裂けるような光が上空に浮かんでいる。
ルアーナ「こんなの起動したら、砂漠ぜんぶ吹っ飛ぶじゃない!」
リュカ「止めるしか…ないよね。」
アイゼン「まあ、俺は“止める方向で”生きてきたからな。」
壁を駆け上がる敵兵、塔の周囲を旋回する魔導兵器。
そのど真ん中で
死神レイヴが、あいかわらず敵側の顔でニヤニヤしている。
レイヴ「さぁて、仲間ごっこはここまでにして…どうしよっか?」
ルアーナ「そのセリフ、100回聞いた!もう信じない!」
リュカ(小声)「いや…レイヴは絶対、裏で何かしてる。」
その時
塔の魔力炉が揺れ、敵幹部が狂気の笑い声を上げる。
敵幹部「もう遅いぞ!魔力暴走は止まらんッ!」
アイゼンは無言で塔の魔力構造を睨みつけ、
怪盗のような不敵な笑みを浮かべた。
アイゼン「ルアーナ、コード32を逆転。
リュカ、上階の制御装置を殴れ。
レイヴ、お前は…何か適当にやれ。」
レイヴ「雑ッ!?」
ルアーナ「32番って、これ!?爆発するやつじゃ…!」
アイゼン「人生、爆発の一つや二つはつきものだ。」
ドカーン!ドゴォォォン!バキュン!ババババババッ!ズゴゴゴゴゴゴッ!
塔全体が激しく揺れた。
魔導機械が火花を散らし、敵幹部が叫ぶ。
その瞬間
レイヴがふっと消え、
次の瞬間、塔の最上部に“影の分身”を飛ばした。
レイヴ「はいはい。じゃ、俺の仕事は…これね。」
カチッ。
レイヴが何かを止めた音。
リュカ「やっぱり…助けてくれてたんだね。」
レイヴ「バレた?イヒヒヒヒ」
魔力暴走が停まり、敵幹部が絶望に膝をつく。
アイゼンは杖を肩に担ぎ、死神に向かって歩いた。
アイゼン「さて、レイヴ。裏切りの演技は、もう終わりか?」
レイヴはニッと笑い、指を鳴らす。
レイヴ「全部“敵が俺を信用するように”って仕込み。
俺が仲間を裏切る裏切らない気分次第イヒヒヒヒ」
ルアーナは思わず叫んだ。
ルアーナ「じゃあなんで毎話毎話、悪役みたいに登場するのよ!」
レイヴ「そっちの方が盛り上がるだろ?」
アイゼン「お前…業界の人間か。」
三人は爆笑。
塔の爆風で髪が逆立ったまま、笑っていた。
敵幹部は完全に気絶。
都市の住民は解放され、魔導塔は沈静化。
四人は砂漠の外縁部へ向けて歩き出した。
夕陽が赤く沈む砂の海。
風は熱く、それでもどこか心地よかった。
アイゼン「レイヴ、今度は裏切るなよ。」
レイヴ「それ、毎回言う?」
ルアーナ「毎回言わないと安心できないのよ!」
リュカ(笑)「うん…でも、なんか嬉しい。」
四人は肩を並べて歩き出す。
砂漠の向こう、次なる冒険へ。
友情と信頼と、少しのイタズラを胸に。
レイヴ「…ねぇアイゼン。
次はどんな“死ぬかもしれない罠”に探すの?」
アイゼン「安心しろ。お前だけは必ず生き残る。“死神”だしな。」
レイヴ「雑にまとめるんじゃない!イヒヒヒヒ!」
砂漠の太陽の中、
四人の笑い声がいつまでも響いた。
そして物語は、砂漠の彼方へと消えていく。
灼熱の太陽が沈み、黄金色の風が吹き抜ける。
笑い声と足音を残して、
「アイゼンハワード最後の旅5 ハメられた罠と笑う死神、盗まれた友情」
ーTHE ENDー




