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【ランキング12位達成】 累計58万PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
「アイゼンハワード最後の旅5 ハメられた罠と笑う死神、盗まれた友情」

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第3話 影の都市、 盗まれた友情

砂漠都市の高層建物が夕陽に赤く染まる。

アイゼンハワード、ルアーナ、リュカの3人は、裏通りに立っていた。


「この都市、影が深すぎるな……まるで友情まで盗まれそうだ」


アイゼンは皮肉を混ぜつつ仲間を鼓舞する。


ルアーナは手元の暗号解析に集中しながら、


「アイゼン、冗談言ってる場合じゃない!この暗号、敵のアジト直結だわ!」


リュカは少し顔を曇らせながらも、二人に合わせて足を踏み出す。


砂埃が舞う路地を抜け、敵の監視網をかいくぐる。だが、都市内には奇妙な障害が次々現れる。落とし穴、罠付きの扉、突如出現する警備ロボット――


リュカが華奢な身体を駆使してくぐり抜け、ルアーナは科学的知識で機械を無効化。


アイゼンは皮肉を交えた掛け声で、

「やれやれ、この都市、忍者修行のコースより難しいな」と笑い飛ばす。



◇◇◇



都市の高台にある敵幹部室。日差しを受けて砂埃が舞う中、影のような人物が忍び寄る。


「――レイヴ?」誰も呼ばぬ声。


その頃、幹部室では敵幹部が書類を前に、部下に指示を飛ばしていた。

「奴らが都市に侵入してきた。罠を強化しろ」

部下たちはざわつく。


その時、ドアが激しくぶつかる音と共に、レイヴが乱入する。砂埃まみれ、衣服は逆さまにめくれ、まるで砂漠で転げ回った後のようだ。


「お邪魔しまーす!今日のコーヒーはブラックでいいですか?」

その声は明るく、まるでお茶会に招かれた客のようだ。敵幹部は一瞬、言葉を失う。


「…なんだその格好は…!?」威圧的に構える幹部。


レイヴはにっこり笑い、つまずきながら机に近づく。手が滑って書類をばら撒く。

「ふふ、ちょっと滑っただけですよ…ほら、偶然敵の書類が落ちましたね!」


幹部は眉をひそめる。

「おい、その動きは…まさか――!」

だが次の瞬間、レイヴは床に転がった暗号メモを拾い、素早く懐にしまう。

「いやー、今日の砂は滑りやすいですね~」


部下たちは混乱。幹部は声を荒げるが、レイヴはさらなる滑稽ギャグを連発。

「書類の整理、手伝いましょうか?あっ、手が滑りました!あら不思議、書類がまた床に!」


その度に幹部は苛立ち、部下たちは呆然。レイヴは笑顔を絶やさず、巧妙に情報を引き出す。


部下が漏らした小声の指示

書類の隙間から読み取れる暗号

目を離した瞬間の文書落下


死神レイヴはすべて手に入れる。滑稽に見える行動の裏で、情報を収集していた。


「ふふ、今日はこのくらいで勘弁してやりますか。…さて、次はどの書類を…」


その姿は無邪気で、笑いを誘う。しかし、その背後にある意図は、誰も知らない――仲間にとっては、ただの裏切りのように見えるだけだ。


砂漠の風が吹き抜け、レイヴの笑い声だけが、幹部室に残った。



◇◇◇



都市の影が深まる中、仲間たちは高台で一息つく。

「レイヴ……どこにいるんだ?」リュカは呟く。


アイゼンは砂埃を払いながら笑い、

「奴は……相変わらずおかしな奴だ。でも、この混乱を利用して何かやってるはずだ」


ルアーナも少し笑みを漏らし、

「敵も油断しすぎ。死神のギャグは最強の武器かもしれない」


砂漠都市の夜風に吹かれながら、3人は友情と信頼を再確認する。

そして、どこかでレイヴが滑稽に動いていることを知らず、次なる試練に向けて歩みを進める。


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