第七話 裏切りの影、親友の死の裏側
砂漠の遺跡を抜けた先、巨大な石橋の上で、一行は敵幹部〈仮面の使い〉に追い詰められていた。
仮面の使いは、ゆっくりと手を広げる。
「……ローレムはな。お前を守ろうとして死んだんだよ、アイゼンハワード」
その言葉に、アイゼンハワードの胸が張り裂ける。
喉の奥に熱が込み上げる。
「どういう……意味だ?」
仮面の使いは愉悦の笑みを浮かべて話し出す。
「裏切り者がいた。お前の仲間の中にな。ローレムはそれを察知した。
だが忠告に向かった直後、私が“処理”したというわけだ」
アイゼンハワードの拳が震える。
ローレムの最後の記憶が、稲妻のように脳裏を貫いた。
◇◇◇
過去の回想
雨が降りしきる夜。
ローレムはアイゼンの名を叫びながら、仲間の裏切り者を追っていた。
「アイゼンを……巻き込ませない……!」
闇から伸びた刃。
仮面の使いの冷たい声。
「魔族は所詮、駒にすぎん」
ローレムは最後の力で情報を暗号に刻み、息絶えた。
「ローレムは……俺を……守った……?」
アイゼンハワードの目が、怒りで赤く燃える。
それを見た仮面の使いが嘲る。
「怒りで頭が焼けただろう? そのまま死ね」
幹部の号令とともに、魔導兵器と刺客が一斉に襲いかかる。
だがその瞬間。
ルアーナ
「はいっ! そっち詰んだ〜!」
ルアーナが崖の地面に仕掛けた“砂落としトラップ”が作動し、
刺客たちは見事にズルッと崖下へ滑り落ちていく。
「ひゃああああああ!?」「ぎょええええ!?」
リュカ
「次はこっちだよ」
リュカが一瞬で魔導兵器のコアを解体。
バシュンッと白煙をあげて兵器は停止した。
仮面の使い
「バカな! あの兵器は最新……」
リュカ
「説明書をちゃんと読めば簡単ですよ?」
シグルは空中で胡座をかいて、指を鳴らす。
死神
「イヒヒヒ……そいつら“今日死ぬ気配”が薄いな。つまり本命はお前だけだ、仮面クン」
仮面の使いはぞくりとする。
「……死神、だと?」
アイゼンハワードはゆっくりと剣を構える。
怒り、悲しみ、友情
全てが胸の底で燃えたぎる。
「ローレムを……殺したのはお前か……!」
橋が震えるほどの気迫。
その背中に、どこか昔のローレムの姿が重なる。
仮面の使い
「来るがいい! その怒りごと消してやる!」
アイゼンの足が地を蹴り、砂が爆ぜる。
影の走りのように、軽快だが鋭い軌道で敵に迫る。
死神
「イヒヒヒ! アイゼンがブチギレモードに入ったぞ〜!」
ルアーナ
「行かせてあげて……これは、彼の戦いだから」
リュカ
「……ローレムのためにもね」
鋼と炎がぶつかり、橋の上が火花に包まれる。
仮面の使いの仮面にヒビが走る。
アイゼンハワード
「ローレムの死の“真相”……全部吐けえええッ!!」
怒りの咆哮が砂漠都市に轟いた。
そして
仮面の使いは後退しながら、意味深な言葉を残す。
「本当の黒幕は……もっと近いぞ……」
その瞬間、爆煙を残して姿を消した。
ルアーナ
「くっ、逃げられた!」
シグル
「イヒヒヒ……“黒幕の匂い”は、まだここにはないな……」
リュカ
「でも重要なヒントは手に入った。裏切り者……本当の敵が近くにいる」
アイゼンは黙って拳を握りしめる。
「ローレム……必ず復讐する。真相を全部、暴いてやる」
砂漠の風が吹き抜け、四人の影が長く伸びた。




