プロローグ 西の都市を抜け、南の国へ、親友ローレムの元へ
【オープニングナレーション】
さあ、行くぜ。
今夜の主役は――
アイゼンハワード、ルアーナ、リュカ、そして“死神”と呼ばれた一人の男。
■ アイゼンハワード
年齢:不詳(たぶん70代後半)
職業:放浪の魔導捜査官(休職中)
特徴:皮肉屋・天才・チート級の洞察力
弱点:友情と子どもにめっぽう甘い
■ ルアーナ
年齢:17
職業:科学者
特徴:素直で真っ直ぐ、時々キレる
弱点:アイゼンの無茶と死神のイタズラ
■ リュカ
年齢:15
職業:元囚人/旅する少年
特徴:華奢だが瞳が澄み切る、静かで優しい
弱点:理不尽・お化け(死神とは仲良し)
■ 死神(仮名:レイヴ)
年齢:数百歳(外見は青年)
職業:死神だが自由行動中
特徴:悪戯好き・毒舌・でも一番仲間思い
弱点:ヌルヌルしたもの
旅の行き先は、風まかせ。
だが今回は、少しばかり事情が違う。
アイゼンハワードの親友……魔族のローレムが殺された。
その遺体のそばに、奇妙な紋章。
彫り込まれていたのは、誰も読めない“暗号”。
誰が彼を殺したのか?
なぜローレムは最後に“旅路の鍵”を握っていたのか?
墓標に眠る真実を暴くため、
アイゼンハワードたちは再び走り出す。
追う者、追われる者、そして闇に潜む者。
どいつもこいつも、一筋縄じゃいかない。
さあ
旅の続きを始めよう。
「アイゼンハワード最後の旅4 ―墓標に眠る暗号―」
開幕だ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
西の都市ルーメン。
戦争の気配と嘘の香りが混じり合う街を、アイゼンハワードたちは走り抜けた。
建物の影、裏通り、監視の目。
だが奴らは止まらない――敵か味方かも分からぬ世界で、逃げるしかなかった。
「くそっ…また追っ手か」
アイゼンハワードが背後を振り返る。
ルアーナは笑顔を崩さず、軽やかに足を運ぶ。
リュカはいつものように無言だが、目が真剣だ。
そして、死神――名前はシグル――は、どこか楽しげに、薄暗い路地を滑るように進む。
南の国――地図にも載らぬ秘境の都市。
そこには、アイゼンハワードのかつての親友、魔族ローレムが待っている。
彼はただの魔族ではない。
戦乱の中、アイゼンハワードの数少ない信頼できる友だった。
だが、最後に会ったときの笑顔は、もう二度と戻らないことを予感させた。
街の灯りが揺れる川沿いを抜け、南の国の国境にたどり着く。
風に乗って届くのは、戦火の匂いと、遠くで誰かが息を潜める気配。
それでも、アイゼンハワードは進む。
たとえ死神が隣でふざけても、ルアーナが挑発的に笑っても、リュカが冷ややかに見つめても、
目的はひとつ
古き友人の魔族
親友ローレムの安否を確かめること。
だが、彼らが知る由もない。
ローレムの待つ地には、すでに血と裏切りの影が忍び寄っていたことを。
「さて、ここからが本番だな」
アイゼンハワードの口元に、ほんのりと笑みが浮かぶ。
逃げるだけの旅は終わった。
これからは、奪われた真実と、友の仇、真実を取り戻すための戦いの旅が始まる。




