第8話 アヤメの心の鎧、強がり少女の本当の願い
教室に入ると、ONI組の女子たちがさっそくざわざわ。
アヤメは、いつものクールな顔で座っているが、
その背中の鎧のような硬さが、教室全体に冷たい風を吹かせていた。
ミナト
「今日のアヤメ、いつもより攻撃力高くない?」
レンジ
「いや、近寄ったら凍りそうだし…」
さっちゃん
「よし、今日の授業は——
“アヤメ心の鎧解体計画*だ!」
カホ
「授業名からして物騒だな…」
さっちゃん
「物騒なのは鎧よ!人間の心の鎧!!
ほら、アヤメ、武器下ろせ武器!」
アヤメ
「…先生、勝手に私のこと言わないでよ」
さっちゃん
「いやいや、勝手じゃない!
見えすぎてるのよ、私には!」
授業が進むにつれ、アヤメの家庭環境が明らかになる。
誰も褒めてくれなかった、家に帰っても誰もいない日々。
だから彼女はクラスで“支配者”になることで存在を証明していたのだ。
ミナト
「なるほど…映え女子じゃなく、アヤメ鎧女子だったのか…」
レンジ
「鎧っていうか、鉄板ぐらい硬いな」
さっちゃん(即ツッコミ)
「鉄板呼ばわりすんな!さっきから比喩雑すぎやろ!!」
さっちゃんはそっとアヤメの前に座り、深く息を吐いた。
さっちゃん
「強がるのは悪いことじゃないよ。
でもね、誰かに支えてほしい時は、甘えていいんだよ」
アヤメ
「……えっ…」
さっちゃん
「泣きたい時は泣け!怒りたい時は怒れ!
でも鎧の中に閉じ込める必要はないの!」
アヤメ、ついに号泣。
さっちゃんの胸で顔を埋める。
レンジ
「…先生…すげぇ…」
ミナト
「こんなアヤメ、初めて見た…」
ガロ
「おい、俺まで泣きそうだ…」
カホ
「感情大洪水やん…」
さっちゃん
「大洪水って言うな!でも、流せ流せ!涙は浄化のシャワーよ!!」
アヤメの涙を見て、ONI組全体の空気が変わる。
笑いあり、泣き顔あり、ギャグの応酬あり、でも心が近づく瞬間。
コトリ
「私も甘えていいんだ…って思った」
星野ルカ
「みんなの前で弱音を吐いてもいいんだ…」
レンジ
「俺も兄弟にもう少し優しくしよう」
さっちゃん
「そうや!今日の授業、心の鎧解体大成功や!!」
ONI組全員
「わーーーー!!」
さっちゃん
「…よし、アヤメ。
心の鎧は外した。でも、服は脱ぐなよ。
学校で裸になったら教育的指導が入るからな!」
アヤメ、笑顔で頷く。
クラス全員も笑顔でうなずく。
教室は、涙と笑いと少しのカオスで満たされた。
3年ONI組、またひとつ“心の距離”を縮めた瞬間である。
【教師陣】
■さっちゃん先生
450歳の魔界鬼教師。外見は小学生。
毒舌・高速ツッコミ・恋愛と再教育のプロ。
魔力入りの杖で暴走生徒を物理的に止める。
「最初から不良の子なんていない!」が口癖。
【ONI組(問題児クラス)】
■雷堂レンジ(らいどう・れんじ)
ONI組の実質ボス。喧嘩無敗。
だが家庭環境が複雑で、心は誰より脆い。
さっちゃんの言葉に一番揺さぶられるツンデレ主人公枠。
■黒羽アヤメ(くろば・あやめ)
SNS女王。毒舌ギャル。
だが実は自己肯定感が極端に低い。
さっちゃんに輪郭補正を暴かれた瞬間、人生が変わる。
■水城ミナト(みずき・みなと)
人気配信者。ONI組の盛り上げ役。
「炎上は伸びしろ」を信じる危ない子。
さっちゃんによって“本当の承認欲求問題”に向き合うことになる。
■羽柴カイ(はしば・かい)
無口で影の薄い少年。
だが天才的な絵の才能を持つ。
ONI組の黒幕的存在という噂もあるが…実は違う。
■蘭堂コトリ(らんどう・ことり)
不登校気味の大人しい女子。
教室の隅でぬいぐるみと会話するタイプ。
だが内側に“破壊級の感情爆弾”を抱える。
■獅子山ガロ(ししやま・がろ)
元暴走族。腕っぷし最強。
筋肉で問題を解決しようとする脳筋男子。
しかし涙もろく、実は一番優しい。
■星野ルカ(ほしの・るか)
天才ハッカー。授業中も学校のWi-Fiを乗っ取る常習犯。
だがコンプレックスの塊で、愛情に飢えている。
【学校側】
■校長 閻魔
ONI組を「教育の敗北」と捉えてきた人物。
しかしさっちゃんが来て価値観が揺らぐ。
■教頭・鬼原
真面目すぎて石化しそうな人物。
さっちゃんに毎回煽られ、血圧が上がる。
【その他】
■クラスメイトの父兄、地域の人々
ONI組を“問題児の集まり”として恐れている。
だが次第に、さっちゃんの姿を通して価値観が変わっていく。




