エピローグ 闇の暴露と解放―自由への疾走!
真夜中の首都ヴァルト
空は赤く染まり、
警報と銃火が都市全体に響き渡る。
黒いマントをまとった 影兵団 が
石畳の上を無表情に進む。
その先頭に、狂気をまとったガルス将軍。
「皇女を奪い返し、国家の“真実”を封印せよ!!反逆者四名を見つけ次第、即時抹殺だ!!!」
東の都市国家が殺気の渦を巻く。
その高層ビルの屋上で
アイゼンハワード老人は
落ち着いた声で仲間に言った。
「さぁ、派手に終わらせようかね……」
ルアーナ
「おじいちゃんの言う“終わらせる”って大体ロクなことない!」
死神シグルは風に髪を揺らしながら、
口角をニタァと上げる。
「イヒヒヒ……死ぬ覚悟はあるかい?
いや、死ぬのは敵だけなんだけどね?」
リュカ
「よし、始めよう」
ホログラムに“真実の書”データを起動させる。
皇女リディアは震える手で
都市広域放送のスイッチを押した。
バチッ。
次の瞬間――
街中の巨大モニターに彼女の顔が映る。
「国民の皆さん……
私は、真実を話します」
東西両国の民が息を飲む。
映像には
・両国政府の裏取引
・欠陥兵器の隠蔽
・自作自演のテロ
・“皇女誘拐”が偽装だった証拠
が次々と暴露される。
都市中の人々がざわめきはじめる。
「うそだろ……?」
「首脳部がやってたってのか?」
「俺たちは騙されていたのか!」
ガルス将軍は怒りで血を吐きそうになり叫ぶ。
「放送を止めろォォォ!!!
このままでは全て崩壊する!!」
しかし
死神シグルが軍の通信塔の上で
携帯端末を踏み砕きながら笑っていた。
「イヒヒヒ……
“真実”ってやつは、止められないんだよ」
影兵団 vs 市民の怒り
東の街角で、怒った市民たちが武装警察に立ち向かう。
西のルーメン共和国でも
議会前に民衆が雪崩のように押し寄せていた。
東西同時蜂起。
誰もが叫ぶ。
「もう戦争なんてごめんだ!!」
「子供たちを死なせるな!!」
「真実を知らずに戦ってたなんて……!」
ガルス将軍がついに剣を抜く。
「影兵団、前進!!
国家の敵を殲滅せよ!!」
黒い兵団が怒涛の勢いで迫る。
皇女
「ダメ! あの兵たちは“死んだ者の魂”を機械に結びつけただけ……
ガルスの作った悪魔の軍勢……!」
アイゼンハワードは老人のくせに静かに微笑む。
「ならば……休ませてやらんとねぇ」
影兵団の前に立ちはだかったのは
たったひとりの老人。
ガルス
「なぜ、貴様が前に出る!?」
アイゼンハワード
「わしはな、
この戦争を止めて“寝たい”んじゃよ」
「寝たい!?」(全員)
影兵団が一斉に突撃してくる。
しかし
次の瞬間、彼らの動きが急に固まった。
死神シグルが空中に浮かびながら、
魂の線を指でいじる。
「イヒヒヒ……
兵隊くんたち、もう戦わなくていいよ。
休んで休んで……永眠しな?」
影兵団は静かに倒れていった。
皇女が震える声で呟く。
「あなた……何者なの……?」
「ただの死神さ。
暇つぶしに人間を助けてるだけのね、イヒヒ」
皇女の暴露により
東西両国の政府は同時に崩壊。
・戦争主導者は拘束
・資金提供していた財閥は解体
・武装勢力は解散
・市民評議会が新政府を準備
ついに戦争は終わった。
「……これでようやく、生者も死者も救われる」
アイゼンハワードが
長い戦いの終わりを噛みしめるように呟いた。
皇女は涙を流しながら言う。
「あなたたちがいなければ、
私は……この国は……」
ルアーナ
「泣かないで殿下!
ほら、死神が変な慰め方してくる前に!」
「抱きしめよっかイヒヒヒ♡」
皇女
「や、やめてぇぇぇ!!」
リュカ
「よし、撤退しよう。
ガルスの残党が来る前にね。」
夕陽の荒野
東と西の国境付近。
赤い夕陽が地平線を染めている。
馬車の上で揺られながら、
老人アイゼンハワードは伸びをする。
「まったく……老人にはハードすぎる冒険だったよ」
ルアーナ
「でも、おじいちゃん一番暴れてたよね」
死神
「次はどこの国をひっくり返そうかイヒヒヒ♡」
リュカ
「それは絶対にやめたほうがいい」
皇女リディアは微笑む。
「みんな……ありがとう。
あなたたちがいて、私は救われた。」
アイゼンハワードは照れたように手を振る。
「気にするな。
わしらはただ、自由に旅をしてるだけじゃよ。」
馬車が夕陽に向かって走り出す。
「さらば、戦争の都市国家よ!!」
そして彼らは次の冒険へと消えていった。
「アイゼンハワード最後の旅3 ― 西の都市国家の陰謀」
ー完ー




