第六話 東の首都ヴァルト潜入―死の気配漂う軍事都市
吹雪を抜けた一行は、ついに東の首都ヴァルトへ到着。
空気は鉛のように重く、煙突から立ち昇る黒煙が町全体を覆っている。
死神シグル
「フフフ……これはたまらんイヒヒヒ。若い子でなく、軍人ばかりイヒヒヒ!死の匂いが濃いイヒヒヒ!」
ルアーナ(鼻をつまむ)
「くっ……スモッグじゃなく、明らかに不法燃料の臭い……!」
リュカ
「間違いない……この都市、表向きは華やかだけど、裏は死者の声で溢れている……」
市街地を進むと、巨大な鉄製門の先に、統制された兵士たちの列が整列している。
監視塔からは西側国境を睨む砲台と、浮遊兵器の影がちらつく。
死神シグル
「おおお……全員捕まえたいイヒヒヒ!制服の隙間から魂がチラ見えイヒヒヒ!」
ルアーナ
「シグル……若干危険すぎるんですけど……」
市場には怪しい商人や情報屋が出没。裏取引の影が、瓦礫の間からじっとこちらを観察している。
かすかに聞こえるのは、誰かの泣き声や金属の軋む音。
リュカ
「皇女リディア……行方不明は、この都市に関わる可能性が高い」
死神シグル
「逃亡じゃないイヒヒヒ……誰かを助けるための痕跡だイヒヒヒ!」
周囲の兵士たちは、西の情報局や帝国首都の将軍府を守るため、どこか常にピリピリしている。
人々は表向き笑顔だが、その背後で恐怖と疑心暗鬼が渦巻いている。
ルアーナ
「ここまで緊張感のある都市、初めて……」
リュカ
「間違いなく、国家レベルの陰謀が渦巻いている」
死神シグル
「おおお……血の匂い、魂の匂い、絶好調イヒヒヒ!カオス最高イヒヒヒ!」
一行は人混みに紛れ、軍事監視の目をかいくぐる。
浮遊装置で飛ぶ兵士や街灯の影を縫うように進む。
市場では情報屋が近づき、皇女の情報を買えないかと囁くが、代金は命に等しい価値。
リュカ
「ここで動くのは危険すぎる……でも手掛かりは確実にある」
死神シグル
「危険?危険なら観察イヒヒヒ!魂の収穫イヒヒヒ!」
この都市では、表向きの繁栄と裏の死の気配が紙一重。
◇◇◇
東の首都ヴァルト、帝国軍将軍府
将軍 ガルス・ハーケン は、重厚な執務室の椅子にどっしりと腰を下ろしていた。
「皇女リディアは裏切り者だ」
その声には疑いの余地もない断定の響き。
しかし部屋の隅、肩に乗った 死神シグル が目を細める。
「フフフ……逃亡じゃないイヒヒヒ、誰かを助けた痕跡だイヒヒヒ……」
ガルスは目を細め、書類に視線を落とす。
「我が帝国に背を向ける者は、どの手段を使っても討つ
特に、私をあざむいた奴は例外なく死に値する」
ガルスは書類をたたきつけ、抹殺命令を下す。
「アイゼンハワード一行――捕縛、もしくは排除せよ」
部屋の空気が一瞬凍りつく。
だが、肩に乗ったシグルは嬉々として笑い出す。
「おおお……死の香り、絶好調イヒヒヒ! 次は死ねるねイヒヒヒ!」
その瞬間、遠くの窓から銀色の影がちらりと動く。
建物の外では、帝国の兵士が待ち構える。
抹殺命令はすぐに執行される運命
「くくく……面白くなってきたイヒヒヒ!」
死神は指を鳴らすと、屋根伝いに勝手に飛び出していく。




