表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ランキング12位達成】 累計57万8千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
第九章 天空竜バハムートと竜騎士ガイア

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

129/1406

第十一話 英雄なき祝宴 ~バハムートの落とし子~

バハムートの巨体が、黒煙をあげながら崩れ落ちる――かに見えた、その瞬間。


「……甘いわ、人間ども……!」


絶命したかに思われた天空竜が、地を蹴り、大気を割って吼える!


「まだ……終わってなどいない……!」


地響きとともに、バハムートが再び羽を広げ、空へと羽ばたこうとする!


漆黒の翼が、再び空を覆い尽くし、眼前の空を黒く塗りつぶす。


その時だった。


「親の仇だ……!そして……俺の仲間の、無念だぁぁぁあああああ!!」


竜騎士ガイアが、竜槍を構えながら地を蹴った。


風を切り、閃光のごとくバハムートの背に舞い降りる!


空中で槍が唸りをあげる―


「刃となりし竜の舞、すべてを切り裂く!

《Dragon Wing Waltz――ドラゴン・ウィング・ワルツ》!!」


その槍が描いたのは、美しき死の旋律。

空中に咲く十三の斬撃が、バハムートの羽根を引き裂く!


「ぐあああああああっ……!」


だが、バハムートはなおも咆哮を上げる――


「このままじゃ、逃げられる……!」


その時、勇者アルベルトが吼えた。


「もう一度立てる限り、俺は何度も戦う!」


双剣を構える。

剣が赤く、燃え上がる!


「《リンゼルラッシュ》!!!!」


一撃――二撃――三撃!


赤い斬撃が光となって天空を駆ける!


四撃、五撃、六撃、七撃――

兄弟の絆が剣となり、天を裂き、炎が舞う!


八、九、十撃目――

風が唸り、炎が吼え、全大地が共鳴する!


十一、十二――そして十三!


赤き炎が螺旋となって、世界を包み込むように燃え上がる!!


「ラストォォォォッ!!!!」


――十四撃目。


すべての命を懸けた灼熱の一閃!!


アルベルトの燃える双剣が、バハムートの胸を抉る!


「これが……俺の全ッッ力だああああああああああああッッッ!!!!」


その瞬間。


リスクが空を駆けた。


全力で振りかぶり


攻撃力わずか20の毒針を、高く掲げ

「これで、終わらせるッッッ!!」


《百目蝮の牙》が、奇跡の軌道を描き

バハムートの胸を貫いた剣の隙間へ


ズバァァァァァァァァンッ!!


「ギャアアアアアアアアア!!!!」


毒針と双剣が、同時に天空竜バハムートの心臓を貫いた!


天が裂ける咆哮を最後に、バハムートは、完全に沈黙した。


しかし。


その巨体が崩れゆく中。


静かに、翼の根元から「ひとつの卵」が転がり落ちる。


金色に輝くその卵は、どこか神聖で、どこか悲しい温もりを放っていた。


「……これは、まさか……?」


マーリンが呟く。

ガイアが顔を曇らせる。


「バハムートは……最後の力で、“未来”を託したのか……?」


卵の表面に、淡く光る古代竜語が浮かぶ。

マリアが祈りを捧げながら、翻訳する。


「我が翼、世界を焼いた。


だがこの子に、選ばせてほしい。


破壊ではなく希望を。」


風が吹く。

英雄たちはその場に、誰も言葉を発せず、ただ金色の卵を見つめた。


それは、確かにバハムートの“落とし子”。

けれど、それは同時に――この戦いの意味を問う、未来への問いかけだった。


空は青く、静かだった。


英雄たちの凱旋に、祝宴の鐘は鳴らない。


けれど、その沈黙こそが、全てを語っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ