第十一話 反撃の刻
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名前 天空竜 バハムート
レベル:99
体力:9999
攻撃:8600
防御:5000
素早さ 9999
魔力:7000
賢さ:999
運:450
この世界で古の天を統べし神竜。バハムートは、地上の争いに干渉せず、長きにわたり天空を漂っていた孤高の存在。
しかし、地底竜ティアマットの死によってこの世界の均衡が崩れたことを察知し、神の理を正すために顕現。
その咆哮は雷鳴を呼び、翼の一振りで嵐を巻き起こす。
「空の王」の異名を持ち、神々ですら畏れる存在である。
【固有スキル】
空の王(風属性無効)
竜王の覇気 自身の攻撃・魔力を一定時間1.5倍に強化。発動中、全ての状態異常を無効化。
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バハムートの巨大な口が開き、灼熱の魔力が天を焦がす。
その喉奥に現れる赤黒い核――
あれこそが、絶対壊滅呪文だ。
「もう避けられん……!」
勇者アルベルトが叫ぶ。
誰の目にも絶望が広がる中、ただ一人、村人リスクが前に出た。
「シスターマリア……!“アレ”を、俺に!」
「はいっ! リスクさん、《ディーペイト》ですね!」
マリアが祈りの言葉を紡ぐと、空間が聖なる風で満たされる。
「―聖なる風よ、リスクに鈍足を!《ディーペイト》」
【リスクの素早さが 0 → -45 に低下しました】
そして、全身が金色の光に包まれる――
「発動した……ゼロ能力者のスキル!」
《Lightspeed Execution――ライトスピード・エグゼキューション》
「マーリンさん、しっかり掴まってください!」
「……えっ、な、なぜ貴方が私を――!?」
言い終わる間もなく、リスクはマーリンを抱きかかえたまま、閃光と化す。
風を裂き、光となった二人はバハムートの口元へ、音速を超えて突き進む。
「まさか……メテオバーストの発射口に、真正面から突っ込む気かッ!?」
その狙いは、ただ一つ。
バハムートの放つ《メテオバースト》を、闇の呪文で跳ね返すこと!
バハムートの口元、すぐそこまで迫ったとき――
「マーリンさん、今です!」
「……了解しました」
リスクの腕の中、黒魔術師マーリンは冷静に杖を高く掲げる。
その目は燃えるような決意に満ちていた。
「汝の罪を映せ、鏡よ……《黒鏡の審判》!」
空間が割れ、黒く染まった大鏡がバハムートの口前に出現。
吐き出されようとしていた《メテオバースト》が、巨大な黒鏡に吸い込まれる。
「グルルルアアアアアアッ!!」
――反射!!
二倍の威力を持った灼熱の魔力が、そのままバハムートの顔面に直撃!
「ギャアアアアアアアアッ!!」
蒼天を揺るがす悲鳴とともに、天空竜がのたうち回る。
全身を焼かれ、自らの究極呪文に引き裂かれる神の王者その隙を、リスクは逃さなかった。
黒魔術師マーリンは浮遊している。
リスクは落下しながら、道具袋から黒ずんだ盾を取り出し、ガシャンと装備する。
破滅の盾、呪いが起動!!
【リスクの防御が0から−100へ低下しました】
「ぎぃゃあああああああああああッッ!!」
「まるで魂がズタズタになる感覚なんだけどッ!!誰かやめさせてッ!!」
俺の全身が銀色の光に包まれる
《Aegis Absolute――アイギス・アブソリュート》
【リスクの防御が+900されました】
ドシァアアアン!!
俺は地面にたたきつけられて3ポイントのダメージを受けた。
そして目の前のバハムートに向って歩み始める。薬草をかみしめながら。
リスクは再び道具箱から腐海なダケを取り出し、口に放り込んだ。
もぐもぐ。
「…………うああああああああああああああッッ!!」
「だ、大丈夫かリスク!?」
「……な、なんだこの不快感……!眠いのの何度も電話がなっている夢の中みたいだ……!」
【リスクの攻撃力が−5になりました】
「……来る!ゼロの能力者の3個目のスキルッ!!」
《Excalibur――エクスカリバー》が発動した。
そして
金、銀、銅―三つの輝きが交差し、リスクの身体が蒼白く輝く!
《最弱》にして《最狂》
ゼロ能力者・リスク、今ここに、すべての《数字》を上書きする!
俺のステータスが、狂ったように跳ね上った!!




