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第十話 逆転の狼煙

挿絵(By みてみん)


―――――――――

名前 天空竜 バハムート


レベル:99

体力:9999

攻撃:8600

防御:5000

素早さ 9999

魔力:7000

賢さ:999

運:450


この世界で古の天を統べし神竜。バハムートは、地上の争いに干渉せず、長きにわたり天空を漂っていた孤高の存在。

しかし、地底竜ティアマットの死によってこの世界の均衡が崩れたことを察知し、神の理を正すために顕現。

その咆哮は雷鳴を呼び、翼の一振りで嵐を巻き起こす。


「空の王」の異名を持ち、神々ですら畏れる存在である。


【固有スキル】

空の王(風属性無効)

竜王の覇気 自身の攻撃・魔力を一定時間1.5倍に強化。発動中、全ての状態異常を無効化。

―――――――――


空が裂け、雷鳴が轟き、黒き翼が嵐を巻き起こす――

天空竜バハムートの咆哮が、世界そのものを震わせるかのように響いていた。


「くそっ……また来るぞ!!」

勇者アルベルトが叫ぶ。バハムートの両翼が大きく広がるたび、空気がねじれ、空間が歪む。


「《ホーリィ・ジャベリン》……ッ!」

シスターマリアが防御結界を展開するが、白銀の槍は容赦なく降り注ぎ、結界を貫いて地を焦がす。


「ぬおおっ!!」

竜騎士ガイアが空中に跳び、攻撃をそらそうとするも、バハムートはその動きを読んだかのように、風のストーム・スパイラルを真横から叩きつける。


「グッ……このままでは……押し切られる……!」

マーリンが血を吐きながらも杖を振るい、反撃の魔法を放つが、バハムートは涼しい顔で風を纏い、それを弾き返す。


――一行は、完全に追い詰められていた。


そして、バハムートが再び、空中を旋回し始めた。


「……あれ……?」

瓦礫の陰から見ていたリスクが、ふと空を見上げる。


バハムートが高度を上げ、翼を広げ、ゆっくりと頭を天に向けて咆哮した。


「その動き……また……見たぞ……?」


先ほどの《メテオバースト》の直前――あのときも、まったく同じ動きがあった。

そして今――同じ順番で行動を取っている。


「おい……おい……まさか……!」


リスクは震える手で、破れかけたメモ帳を取り出す。戦闘の中でも必死に記録していた、バハムートの行動ログ。


「ストーム・スパイラル……ホーリィ・ジャベリン……サンクチュアリ・ゲイル……次が……次が……メテオバーストだ!!」


空が赤く染まる。

バハムートの口元に、灼熱の魔力が集まりはじめる。


「アルベルト!! 今の動き……あれはメテオバーストの前触れだッ!!」


「なにっ!? リスク、お前……!」


「全部、読んでたんだ! あいつの攻撃、順番が決まってるんだよ!

風、聖、風、聖、そして……あの特別な攻撃、メテオバーストは、必ず“あの動き”のあとに来る!!」


アルベルトたちは、次の一手を考えるよりも早く、光の玉がバハムートの口から放たれようとしている。


「下がれぇぇぇぇぇッ!!!」

ガイアが全員をかばうように飛び出し、魔力防壁を展開。


だが次の瞬間――


「メテオバースト!!」

天地が反転したかのような閃光と轟音が、空から地上に降り注いだ――!


大地は割れ、崖が崩れ、勇者一行は吹き飛ばされる。


そして――


「……ッ……生きてる……? 全員……無事か……?」

アルベルトがよろよろと立ち上がり、辺りを見回す。


「私は……かろうじて……」

マリアが肩を押さえながら答える。


「リスクの警告がなければ……あれは完全に……全滅してたぞ……!」

マーリンが咳き込みながらも言う。


リスクは涙目になりながら、震える手でメモ帳を握りしめていた。


「……あいつには、ちゃんと“法則”がある……! それが分かれば……勝てる方法があるはずだ……!」


一筋の光明が、絶望の中に差し込んだ――


空では、なおもバハムートが悠然と旋回を続ける。

だが、もはや勇者たちは、ただの獲物ではない。

知恵と勇気を手にした者たちの、逆転の狼煙が今、上がり始めたのだ。


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