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第九話 天空の王者


挿絵(By みてみん)


―――――――――

名前 天空竜 バハムート


レベル:99

体力:9999

攻撃:8600

防御:5000

素早さ 9999

魔力:7000

賢さ:999

運:450


この世界で古の天を統べし神竜。バハムートは、地上の争いに干渉せず、長きにわたり天空を漂っていた孤高の存在。

しかし、地底竜ティアマットの死によってこの世界の均衡が崩れたことを察知し、神の理を正すために顕現。

その咆哮は雷鳴を呼び、翼の一振りで嵐を巻き起こす。


「空の王」の異名を持ち、神々ですら畏れる存在である。


【固有スキル】

空の王(風属性無効)

竜王の覇気 自身の攻撃・魔力を一定時間1.5倍に強化。発動中、全ての状態異常を無効化。

―――――――――


天空が裂けるような轟音とともに、漆黒の巨影が谷を覆う。

天空竜バハムート天を統べる古の竜が、竜の谷の頂に舞い降りた。


その姿はまさに空の王。

黒曜石のような大翼を広げ、金色に輝く眼光がすべてを見下ろす。

重厚な咆哮が雷鳴となって大地を揺らし、空を震わせた。


「きたか……奴が……!」


竜騎士ガイアの顔に、今まで見たことのない恐怖が浮かぶ。


「この風、この圧――間違いない。あれは……俺の部隊を壊滅させた“あのバハムート”だ!」


「……全員、気を引き締めろ。これは、“神殺し”の戦いだ……!」


バハムートの口元に、紅蓮の光が集まり始めた。


「逃げろ! 来るぞッ!!」とガイアが叫ぶと同時に、空から灼熱の隕石が降り注いだ――


「《Meteo Burstメテオ・バースト》!!」


挿絵(By みてみん)


天空が裂けるような炸裂音。次々と落ちる流星群のような火球。

それはもはや自然災害。避けることなど許さない、死の雨だった。


「っく……シールドが持たないっ!」

マーリンが咄嗟に防御魔法を展開するが、爆発の衝撃が次々と襲い、彼も膝をつく。


「うっ、あちこち燃えてる……!マリア、大丈夫か!」

勇者アルベルトが倒れたマリアを抱きかかえる。


「……神よ……導きを……」

彼女の祈りは届かぬまま、破壊の嵐が続く。


「‥‥」

リスクはその惨状を、山肌の岩陰からただ震えながら見ていた。

仲間たちは誰も彼も重傷。このままでは、本当に……全滅する。


「こ…これが、空の王…!」

竜騎士ガイアが膝をつく。重鎧の隙間から滴る冷や汗は、戦士としての本能が告げる恐怖の証だ。


「奴の咆哮が、空を砕いてる……!」

シスターマリアが詠唱を止め、震える手で聖印を握りしめる。


「来るぞッ!!」

アルベルトが剣を構え、前衛へ飛び出す。


バハムートは天に向かって咆哮を上げた。

その瞬間、金色の雷光が天を裂き――


「《ストーム・スパイラル》!」

無数の竜巻が空から降り注ぎ、地を薙ぎ払う。ガイアが咄嗟に槍で風圧を受け流すが、二人の背後の岩が砕け、吹き飛ぶ。


「ぐッ…! こんな風圧、まともに食らったら……!」

ガイアが口元から血を流しながら言う。


「くそっ! 風の壁じゃない、これは……嵐そのものだ!」

マーリンが杖を構え、黒い魔法陣を展開する。


「《黒盾の結界・改》――展開!!」


黒い障壁が仲間を包み込み、一時的に竜巻を遮る。

しかし、すぐにバハムートの次の一撃が来る。


「…!? 回避ッ!」

リスクの叫びと共に、天空から高速の光の槍が雨のように降り注ぐ!


「アルベルト、右に避けて!」

マリアが叫ぶ。アルベルトは寸前で回避するが、左肩をかすめた聖光が肌を焼く。


「うぐっ……! この速さ、見えない……!」

「詠唱すらない即時魔法……こんなもの、反応できるわけが……!」

マーリンの顔が焦燥に歪む。


「だが……まだだ。まだメテオバーストは来てない!」

ガイアが歯を食いしばりながら立ち上がる。


「……あのとき、俺の隊は…あの攻撃で全滅した。空に光が灯った時には、もう手遅れだったんだ……!」


空を仰いだ瞬間、バハムートが旋回し、翼を大きく広げて静止する。


「来る……あの動き……間違いない!」

リスクの目が見開かれる。


バハムートの口元に、赤黒い光が集まり始める。

大気がねじれ、重力が歪み、空間そのものが燃え上がるように感じられた。


「メテオバースト……!!」

マーリンの声が震える。


「マリア、魔法のバリアは!?」

「全力で展開してる!でも、これは……っ!」


バハムートの翼が広がりきった瞬間、

空から無数の隕石が降り注ぎ


「うわあああああッ!!」


爆風と熱風、閃光の嵐が全てを飲み込む。


地が裂け、石が砕け、勇者たちの防御はことごとく吹き飛ばされた。

視界は白く染まり、誰の声も届かない。

それでも生きていた。


「……っく。これは……パターンがある……」

がれきの影から、リスクのかすれた声が漏れる。


「最初に旋回、次に翼を……それが……」


彼の脳内に、ある確信が芽生え始めていた。

“この攻撃、避けられる。見切れば、生き延びられる。”


しかし、まだ答えは見えない。

勇者一行に時間は残されていなかった。

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