第9話 天使 vs 鬼教師の文化祭
天界第二分校・3年ONI組。
年に一度の天界文化祭が、まもなく開幕。
空に舞う天使たちの光のデコレーション、翼型クレープ、羽毛アート展示、オーラカフェ…。
どこも優雅で神聖、品格に満ちた催し――
……の、はずだった。
文化祭の開幕10分、地獄の門が開く。
「さっちゃん先生!ONI組のブースが……暴走してます!!」
ミカエルが青ざめて飛び込んできた。
「何をやらかしたのよ今度は!」
「“地獄アトラクション”って書かれたテントから黒煙が出てます!!」
「おい誰だ!文化祭で地獄開けたのは!!」
中に入るとそこはまさに地獄絵図。
「いらっしゃいませぇ!“天国と地獄体験ツアー”へようこそぉ!」
案内役は偽善バイク、頭には角カチューシャ、背中には“業火スモークマシン”。
「天使が煙まみれってどういうこと!?ここ浄化エリアよ!?」
「いいんすよ先生!スリル体験!マジ受けしてます!」
「受けじゃなくて呼吸困難になってるわよ客が!」
善人ウラトの悪魔的プレゼン。
一方その頃、ウラトは「心理テスト喫茶」なる出し物を展開。
来場者のオーラ色を分析するという触れ込みだったが――
「あなたのオーラ、ピンクです。恋愛運アップ!」
「ほんとに!?」
「はい、500円課金すれば赤に進化します。」
「それガチャやないかーーい!!!」
さっちゃん先生の手刀ツッコミが炸裂。
「教育庁の倫理委員会より悪質よアンタ!」
「だって儲かるんすよ先生。経営戦略っす。」
「ビジネス塾かここはぁ!!」
慈愛アイコの“天使ショー”
さらにステージでは、慈愛アイコが率いる演劇チームが上演中。
タイトルは『涙の祈り~先生を成敗する光の裁き~』
「……あの台本、どこかで見覚えがあるわね?」
「先生、主役が“悪の教師”で名前が“サッチェーヌ”です!」
「完全に私じゃない!!」
ステージ上のアイコ
「さあ悪の教師よ!お前の暴力教育を懺悔せよ!」
観客(拍手)「おお~!迫真の演技!」
「迫真じゃないわよ、実話再現じゃないのよコレェ!!」
さっちゃん先生、舞台上に乱入!
「脚本家出てこい!!……ってアイコ、あんたか!」
「だって、先生が悪役似合うんですもの♥」
「褒め言葉の凶器やめろぉぉぉ!!!」
天界文化祭、大混乱。
バイクの地獄ブースは煙をまき散らし、
ウラトのオーラ喫茶は課金制スキャンダルに発展、
アイコの演劇は先生告発ショー化。
来場者の天使たちは逃げ惑い、
「浄化水が足りません!」
「煙が羽に染みてる!」と大混乱。
ミカエル「先生!これもう修羅場通り越して終末ですよ!」
さっちゃん:落ち着きなさいミカエル!ここで教師が逃げたら、鬼が泣くわ!」
さっちゃん、マイクをつかみ壇上へ。
「聞けぇぇ!!天界のバカ天使どもぉぉぉぉ!!!」
ざわつく会場。
「こんなに騒いで、怒られて、笑って、それでいいの!
天界が光しか知らないなら、闇の中で笑えばいい!
これが3年ONI組の教育よ!!!」
観客「おおおおおぉぉぉ!!!」
拍手と歓声。煙の中で、天使たちが笑顔を取り戻す。
ミカエル「……先生、言ってること滅茶苦茶ですけど感動しました。」
さっちゃん「教育って、だいたい滅茶苦茶なのよ。」
文化祭、伝説化。
その夜天界広報部のニュース。
『鬼教師、文化祭を地獄化!しかし笑いと涙で天界に新風を吹かす。』
善人ウラト「先生、結果オーライっすね!」
偽善バイク「来年も“地獄ツアー2”やるっすか?」
さっちゃん「二度とやるな!!!」(ドゴォ!)
慈愛アイコ「先生のツッコミ、愛がありますね♡」
さっちゃん「お前それ毎回言って逃げるパターンだろ!!」
教室中が笑いに包まれる。
3年ONI組の文化祭は伝説となった。




