表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ランキング12位達成】 累計55万9千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『3年ONI組 さっちゃん先生3 ―天使なのに悪魔のような生徒たち』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1220/1361

第8話 地獄の家庭訪問!さっちゃん、保護者も泣かす

天界第二分校・3年ONI組。

地上遠足から戻った翌週、さっちゃん先生の机の上には一枚の通達が。


『家庭訪問週間 ― 教師は生徒の背景を理解し、愛をもって接すること。

担当:3年ONI組 さっちゃん先生』


「……“愛をもって”ね。鬼に愛を説くとは、いい度胸だわ、GOD。」

副担任ミカエルが慌てて止める。

「先生、穏やかにお願いしますよ!?前回の遠足で“東京燃ゆる”ってニュースになったんですから!」

「大丈夫よ。今回は家が燃えるだけだから。」

「やっぱりダメです!」


家庭訪問1件目:慈愛アイコの家


一見、花々が咲く穏やかな天界住宅。

だが中に入った瞬間、空気が凍る。


「ようこそ先生。母はお出かけですの。代わりに“お茶”でも。」

にこやかに微笑むアイコの手には、完璧なマナーのティーセット。

その背後には机一面に並ぶ「前担任の評価記録」と「教育委員会への匿名報告書」。


さっちゃん「……ずいぶん、研究熱心ね。」


アイコ「教師の“欠点リスト”を作るの、趣味なんです。」


その瞬間、部屋の照明がピシッと弾けた。

「いい趣味ね。でも、私の欠点を数えるなら指、足りないわよ。」

笑顔のまま、さっちゃん先生の鬼オーラが立ち上る。


アイコの笑顔がわずかに揺れる。

「……前の先生も、そう言ったわ。で、翌週には泣いて辞めたの。」

「私は泣かないわ。泣かせるのは――あなたの心の奥の子供よ。」


裏で動くアイコの策略

翌日、アイコはクラスの生徒たちに囁く。

「先生の“愛”は暴力と同じ。私たちは守られなきゃ。」


善人ウラトも葛藤する。

「確かに……先生はやりすぎる。でも、あの人が来てから、俺たち変わった気もするんだ。」


「洗脳されてるのよ、ウラト。」


アイコの指導で“反さっちゃん連盟”が再び結成。

クラスは完全に二分される“信じる派”と“拒絶派”。


さっちゃん先生は一軒ずつ生徒の家を訪れ、親たちの言葉に耳を傾ける。

裕福だが冷たい家庭。

欠点を許さない親。

子どもを褒めることを忘れた家庭。


そして、どの家にも“孤独”があった。


「成績も、規律も大事。でもね――泣きたい夜を見ないフリする教育は、地獄より残酷よ。」

涙ぐむ保護者たち。

いつしか鬼教師は、保護者を泣かせる“伝説”となる。



その夜、教室。

反発するアイコが立ち上がる。

「先生なんかに、何がわかるのよ!私がどんな気持ちで教師を恨んでるか!」


静かに、さっちゃんが答える。

「わかるわよ。あんたが“教師”という言葉を嫌うのは――本当は、“愛されたかった”からでしょ。」


教室に沈黙。

アイコの羽が震え、ぽろりと一粒、涙が落ちた。

「……やめてよ。そんな言葉……反則だよ。」


ミカエル「先生、保護者から“泣かされたけど感謝してます”って手紙が山ほど届いてます!」


さっちゃん「いいのよ。教育ってのは、泣いた数だけ前に進むの。」


ウラト「……先生、あんた、やっぱり鬼教師だな。」


さっちゃん「褒め言葉として受け取るわ。」


3年ONI組、再び団結の兆し。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ