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完結【51万3千PV突破 】運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『3年ONI組 さっちゃん先生3 ―天使なのに悪魔のような生徒たち』

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第2話 天界で悪魔の授業

天界第二分校


午前9時、白銀の鐘が鳴る。


天界の学園は、雲の上に浮かぶ巨大なキャンパス。

七つの塔と三千の教室を持ち、天使たちは「飛行学」「光魔法」「祈りの作法」「奇跡創造学」など、

優雅かつ高尚な授業を受けている


はずだった。


だが、その中でも悪名高いクラスがひとつ。


「3年ONI組」


前任の担任教師はノイローゼで退職。

“天使なのに悪魔のような生徒たち”と噂される、問題児の巣窟である。


校長・GODはさっちゃん先生に告げた。


「おぬしならば……あの地獄の心を持つ天使たちにも、光を見せられるかもしれん」


「……地獄? お任せください。そこの出身ですから。」


授業開始だが、教室はカオス。

ホログラム黒板には「天界倫理Ⅰ」と表示。

だが、前列の天使はおしゃべり、後列の天使は机にラクガキ、

中列の男子グループはスマホ(天界端末)で先生の顔を加工してSNS投稿中。


「あ、見て見てー! 鬼のモンスターと“さっちゃん先生”ってやつ、合成完了~!」

「うっわww 本気で似合ってるじゃん、“地獄のカップル”って感じ~!」


教室が爆笑に包まれる。


「はい、じゃあ順番に自己紹介してもらおうか!」


(無視)


さっちゃんの眉がピクンと動く。

沈黙を破ったのは、金髪で羽先に黒を混ぜた少年。善人ウラト。


「俺、ウラト。成績トップ。神の使いの中でも選ばれた天使。

でも教師なんて信用しない。前の先生も“俺らのせい”で辞めたらしいけど、

そんな弱いヤツ、ここにいる資格ないんじゃね?」


冷笑が教室に走る。


次に椅子を傾けながら立ち上がるのは、サングラス姿の偽善バイク。


「バイクっす。愛車は“ハレルヤ750改”。

授業? 出ねぇっす。天界も地獄も、力が正義っしょ。

先生、あんたも地獄帰りだって? じゃ、どっちが上か勝負します?」


最後に髪を三つ編みにした少女、慈愛アイコが立ち上がる。


「私、アイコ。慈愛の天使、だなんて呼ばれてたけど…

前の担任が“私の祈りを否定した”の。

だから教師なんて大嫌い。優しいフリして、生徒を壊す。」


空気が凍る。

他の生徒たちは、その三人の目配せ一つで沈黙。

“ONI組の三本翼”のクラスを支配する参謀たちだ。


黒板のチョークがバキィッと折れる。

さっちゃん先生の背後で、赤黒いオーラがゆらめいた。


「……あらあら、教師イジメねぇ。上等じゃないの。」


天井から落ちる羽根が、赤く焦げる。

副担任・大天使ミカエルが慌てて止めに入る。


「さ、さっちゃん先生っ!? ほどほどに! ここ天界ですから!」

「ほどほど? こっちは地獄仕込みよッ!」


ドンッ!!


次の瞬間、問題児たちの椅子がまとめて吹っ飛んだ。

床に落ちたスマホ端末が、煙を上げる。


「授業中にスマホ? はい、没収。次は羽むしるわよ。」


教室に静寂が訪れる。

そして、さっちゃん先生の声が響く。


「“鬼”の授業、始めるわよ。天使ども。」


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