第三話 空からの刺客
蒼穹を切り裂くようにして、魔導飛行船《アストラ=バルムガンド》は浮上した。
船体は魔導心臓〈マドウエンジン〉の鼓動によって振動し、幾重もの魔法陣が大気を歪めながら推進する。その姿はまさに、星々を翔ける空の覇者だった。
「見よ!この風!この視界!この俺!全部完璧じゃないかぁーッ!」
「舵をちゃんと握りなさい!ああもう、うるさいわね!」
「君の怒鳴り声が爆裂級に素敵だよ、マーリン嬢♡ ねえねえ、お茶でもいかが?」
「……あまりおしゃべりしてると、呪いコロシマスヨ」
彼女は静かに、魔女の瞳を取り出した。
「それはドラゴン〇ールのボスの悪役のノリデスネ!?」
「いや、あれは本気で言ってる目だ。逃げとけ。」
リスクが注意する。
すると。
「上空、警戒!……来るぞ!」
雲の隙間から、黒い影が次々と降下してきた。
アルベルトが望遠魔眼を通して叫ぶ。
「グリフォン3体!……それに、ガルーダにあれは……コカトリス!? 数が多い!」
名前 ガルーダ
体力 : 3000
攻撃 : 2200
防御 : 650
素早さ:1800
この世界で神話の時代より語り継がれる伝説の聖獣。全身が金色の羽毛で覆われた巨大な鳥であり、翼を広げれば雷雲が裂け、大地に神風が吹き荒れるという。
名前 グリフォン
体力 : 2800
攻撃 : 2400
防御 : 750
素早さ:1500
この世界で上半身が鷲、下半身が獅子の姿をした空界の猛禽。高度な飛行能力と鋭い鉤爪で空戦に特化しており、集団での襲撃を得意とする。知性は低いが、群れの連携が厄介。
名前 コカトリス
体力 : 2900
攻撃 : 2300
防御 : 800
素早さ:1400
この世界で鶏の頭に蛇の尾を持ち、羽ばたくことで猛毒の霧を撒き散らす魔獣。視線を合わせた相手を石化させる《邪視》を使うため、対処には高い魔防が必要。中距離戦を得意とする厄介な敵。
「マーリン、飛行船はヘリウムガスで浮いているんだ。火の魔法を使うなよ!」
リスクが注意すると
「あら、そうでしたの,,,,」
と慌てて杖をひっこめた。あぶねぇえ
「フッ……俺の出番だな!」
「待って!ちゃんと狙いを定めな――」
ユスフ(無視して爆裂詠唱に入る)
ユスフは魔方陣を刻んだ大理石の杖を両手に掲げ、静かに詠唱を始める。
その声は低く、やがて天地を震わすほどに激しさを増していく。
◆召喚詠唱 ― ネクロマンサー・ユスフ◆
「死を超え、輪廻を断ち、絶対の破壊をもって天を裁かん――
我は汝に命ず、無明を照らす破壊神よ、
青き首をもって踊り出でよ、我が右手にて世界を凍てつかせよ――!」
「《ネクロマンサー・アーク:降臨せよ、シヴァ=マハーデーヴァ!!》」
漆黒の魔法陣が天に浮かび上がり、落雷と共に氷の竜巻が巻き起こる。
その中心から、四本の腕を持つ神の如き蒼き戦士が姿を現す。
《破壊神 シヴァ》――神性のオーラと共に、世界の秩序すら震わせる存在。
「さぁ行けシヴァァァァァアアアア!!天を凍らせろッ!!」
シヴァは手のひと振りで、ガルダの雷撃を氷の障壁で無効化。
一対の腕で氷の槍を形成し、コカトリスを串刺しに!
さらに第三の目が開き、放たれる冷気光線で空間ごと凍結!
ドゴォォォォン――ッ!!!
コカトリスとガルダの翼が凍り、空中でバランスを崩す。
空は静まり返る。散り散りになった魔物たちの残骸が、光の粒となって大気に消えた。
ユスフは口元をニヤリと歪めて叫んだ。
「これがアラビア式・インド製の爆裂召喚術だァァァア!!!」
【パーティ全員のレベルが1上がった!】
バトルが終わり、ガルダは光となって天空に還っていった。
ユスフは凍りついたガルダの羽根の欠片を拾いながら、リスクに語りかける。
「なあリスク。俺、思いついちゃったぞ。」
「またか……今度は何だ?」
「この召喚術で冷却フィールドを展開して、ほら、販売機を凍らせて中身を長期保存するんだよ!」
「……冷凍食品とかアイスの自販機?」
「違う違う!《シヴァ冷凍自販機》って名前で、召喚契約とセットで売るの!ワンチャン、宗教法人化できるぞ!」
「お前、それ完全にアウトなやつだろ…」
「神聖なる存在を商売に使うの、やめなさいッ!」
シスターマリアが苦言を呈した。
こうして、《魔導飛行船 アストラ=バルムガンド》は次なる目的地、天空王国レティシアへと進む。
空の支配者たちを撃破し、その名は空に轟いた。