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【ランキング12位達成】 累計57万7千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
第八章 魔導の国と魔導生命体

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第8話 闇の司祭カザールの最後の禁術

ルナの塔の天井が吹き飛び、夜明けの光が差し込む。

戦いは終わったはずだった。そう、誰もがそう思っていた。


「……やった、ついにカザールを──」


「……倒したのよね?」


「ほんとに……全部、終わった……?」


マーリン(杖を握り直し、鋭い視線で周囲を見る)

「……いいえ、終わってない」


その瞬間だった。


広間の床が、震えた。

まるで心臓の鼓動のように、重く、鈍く、そして異様に生々しい音が鳴る。


ドン……! ドン……!


「な、なんだ……この揺れは……!?」


「まさか、地震!?それともまた魔法──?」


「ちょっと待って……今、床が……呼吸してる……!?」


床が波打ち、壁が蠢き、塔全体が不気味な赤黒い魔力に染まり始めた。

天井の残骸が舞い上がり、崩れた柱が勝手に組み直されていくいや、違う。それは再構築ではなかった。


それは変身だった。


「……来たわね。最悪のシナリオ」


巨大な魔方陣が塔の中心部から浮かび上がり、天井を突き抜けるほどの光柱が発生する。


その中に、半壊したはずのカザールが浮かび上がっていた。


「──我が肉体が滅ぶとも……塔は滅びぬッ!!」


「カザール!?生きて──っ!?」


「貴様らごとき、最後の禁術を見せるとは、見せてやろう、我が最終の禁術……!」


不敵に嗤うカザールの背後で、崩れかけたルナの塔が脈動を始める。

赤黒い魔力の波が走り、塔のひび割れから異様な光が漏れ始めた。


マーリン(目を見開いて)

「まさか……まさか、あれを使うつもり!?」


「……“禁術”か……!」


カザール(高らかに両手を掲げて叫ぶ)

「聞けええぇぇぇぇえッ!! 我が魂よ! 塔と一つとなり! 世界を呑み込む災いとなれッ!」



《禁呪・月骸起動げつがいきどう──ルナ=ネクロス!》


塔全体が、呻いた。

石造りの床が肉のようにうねり、壁に血管のような模様が浮かぶ。

塔そのものが、巨大な魔獣として覚醒し始めた!


塔の外壁が割れ、巨大な手のような構造物が空に突き出る。

塔の最上部、今までいた広間が顔のように変形し、禍々しい魔眼が開いた


「……ルナの塔は、元々古代魔族の遺骸の上に建てられたと言われていたわ。まさか、本当だったとはね」


「それが動き出したってこと……!?」


中心のルナの塔が、まるで肉体を得た巨人のように歪みながら変貌していく。

崩れたはずの壁がうねり、巨大な腕のような柱が伸び、塔のてっぺんには、禍々しい顔のような魔眼が開いた。


「う、動いてる……!?」


「……ルナの塔はもともと魔族の封印具だった。それを……カザールが“融合”した……」


「つまり……塔そのものが、カザールになったのか……!?」


まさにその通りだった。


中心の塔と、周囲に立つ4本の副塔が鎖のような魔力で繋がり、5本の巨大な柱が地を割って起動する。

空が暗転し、稲妻が走る中、大地そのものが呻き声を上げる。

巨大な塔の魔物が、地を踏みしめて一歩、歩くごとに、地響きが大陸にまで轟いた。


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