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第7話 ネゴシエーターⅡ

挿絵(By みてみん)


―――――――――

名前:マーリン(黒魔術師)

レベル:65

体力:5800

攻撃:444

防御:888

素早さ:999

魔力:1700

賢さ:620

運:145

この世界で魔王軍で人魚族の占術師として悪魔王ガイアスの右腕。高レベルの黒魔術を使いこなす。

別名: 魅惑の黒魔術師 マーリン 年齢は300歳

―――――――――


ルナの塔、最上階。

闇の魔力が満ちる広間に、勇者アルベルト、シスターマリア、そして村人リスクが踏み込んだ。


黒き玉座に腰かけるのは、闇の司祭・カザール。

その横に立つは、かつて共に旅した仲間、黒魔術師マーリン。


「ふはははは!ようやく来たか、勇者ども……いや、勇者モドキ共よ!」


「カザール……!貴様の野望は、ここで終わりだ!」


「マーリン……どうして……私たちを裏切ったの……?」


マーリン(小さく息を吐き)

「……さあ、どうしてかしらね」


「余計な感傷は捨てよマーリン!この場は我らの勝利だ!」


禁術 《シャドウ・グレアム》


「影よ、腐蝕の淵より這い出でて、愚かなる者を嘲笑え──《シャドウ・グレアム》!!」


ドクン、と大地が脈打つ。

次の瞬間、黒い影が床から触手のようにのたうち、勇者アルベルト、シスターマリア、そして村人リスクを絡めとった!


「くっ……動けない……!」

「これは……魔力を吸い取る呪縛!? 禁術……!」

「このっ、影が強すぎる……!」


「ふははは!禁術シャドウ・グレアム……貴様らごときに抗える術などないわ!」

「フン……能力ゼロの男が何を騒ぐ。マーリンよ、命令だ。あの小僧を《クリムゾンフレア》で消し飛ばせ!」


「……あなた、自分でやりなさいよ。私は、そういう便利な杖じゃないのよ」


「何だと……? 貴様、誰のおかげで──」


マーリン(目を細めて)

「……言ってみなさい。その先を」


リスク(震えながらも前へ出る)

「ま、待ってくれマーリン!」


「……リスク、あなた、まさか話を通そうって言うつもり?」


「……うん。正直、怖いよ。でも……俺、覚えてる。君と一緒に旅した日々。魔人ゴーレムや堕天使アザリエルや女王セレナやなど俺たちがピンチの時に戻ってきて助けに戻ってきたじゃないか」


(俺はダメ元で情に訴えかけてみた)


マリア(小声)

「リスク!?なに言って……!」


「自己紹介がまだだよね。どうも、村人代表・兼交渉人のリスクです。趣味は生き延びることです」


「交渉人……?村人が?」


「ええ。村の寄り合いで鍛えられたんですよ。老人会と若者組の板挟みって、魔王軍より厄介なんですから」


マーリン(くすっ)「……面白いわね、あなた」


「なにをぐだぐだぬかすかッ!さっさととどめを刺せ──マーリン!」


「おっと、おじいちゃんストップ。今、女性と話してるんです」


「貴様 !魔力1の雑魚がワシに指図するな!」


リスク(マーリンの目を見て)

「あなた、本当にこんなやり方がしたかったんですか?勝てばいい、って顔には見えません。どちらかといえば“負け方を選びたい”って顔してます」


マーリン(ピクリと反応)

「……なに、それ」


リスク「あなたの瞳……きれいだけど、ずっと何かを我慢してる。

さっきからこっち見ながら、一度も“楽しそう”に笑ってない」


マーリン「……」


「俺たち、あなたに恨みがあるわけじゃない。だけど、巻き込まれる人が出るなら……それは止めたい。

だからせめて、“勝ち方”を選ばせてください」


マーリン(数秒の沈黙)


「……なるほど。そういう交渉、嫌いじゃないわ」


「マーリン!?なにを話している!」


マーリン(ピシャリと)

「黙って、カザール。あんたの声は耳障りなのよ」


「ぐぬぬ……!」


マーリン(リスクに向かい)

「リスク。あなた、少し口がうますぎて腹立つけど……確かに、私は勝ち方を選びたい」


「邪悪なる光が魔法を消し去るMマジックキャンセル」

マーリンが低く、冷たい声で詠唱すると同時に、光が弾け飛び、闇の司祭カザールの魔法がかき消された。


「動ける……!」


「助かった……!」


「ありがとうございます。ちなみに、もし戦うにしても、そっちが“乗り気”な戦いがいいですよね?」


「ふふ……いいわ。あなたたち、私を本気にさせてみなさい」


「マーリーーーン!!!お前まさか、寝返ったのかあああああ!」


「ええ。今、寝返った。文句ある?」


「いやー、なんとかなって良かった」


「……あんた、ただの村人じゃないでしょ」


「え?ただの村人ですよ。『話が通じそうな魔女と交渉して世界を救った村人』です」


かくして、“ただの村人”リスクのネゴシエーションにより、闇の禁術は無効化され、かつての敵マーリンが再度、仲間に加わるという

想定外の展開へ。

ルナの塔、最終局面を前に、戦況は静かに、だが大きく動き出した!


カザール(震えながら詠唱を始める)

「トゥーラ・エルヴァ・ノクス……」


 星の彼方、道を開け。

 我が意に応えよ、移転の門よ――!

《エクソダス・


「また逃げるのかよ!!」

「卑怯者ッ!」


マーリン(すっと腕を伸ばし、杖を構える)

「ふふ……最後に、ちゃんとケジメつけましょ」


(空気が震え始める。床の魔力灯が一斉に赤く染まり、塔全体が揺れる)


「赤き破滅の炎よ、我が命を糧として顕現せよ──灼き尽くせ、世界のことわりごと!」


「《爆裂魔法・クリムゾンフレア》!!」


その瞬間、大地が鳴動した。巨大な魔力が一点に収束し、まるで空間がねじれたかのような圧力が周囲を包む。


爆心地に魔力が集中し、次の瞬間――


「滅びろ世界の終焉のエピローグ!!」


巨大な魔力が一点に集束したあと、暴発するように爆裂。爆心地から赤い閃光が放射状に広がる。


ボゥッ!!ゴォォォォオオ!!!ゴォォォォオオ!!ゴォォォォオオ!!


(紅の閃光が、空間ごと焼き尽くす!)


カザール「ぎゃああああああああああああ!!!!!」


──爆裂魔法の轟音が塔の最上層を貫き、天井ごと吹き飛ばす。

広間には、黒焦げの床だけが残り、カザールの姿はもう、どこにもなかった。


【パーティ全員のレベルが2上がった!】



マーリン(肩で息をしながら、リスクを振り返る)

「……まったく、いいネゴシエーターがいたものね」


リスク(ちょっと泣いてる)

「……ほんと、無理だと思ったけどさ……よかった……!」


「まさかリスクの説得でマーリンが戻ってくるとはな……」


「いい話だけど、塔が半壊してるのよ!?帰れるの!?」


「知らないわ。そこは勇者の出番でしょ?」


「えっ、俺!?」


(みんなで笑い合う中、夜明けの光が壊れた天井から差し込む)


こうして、ルナの塔の戦いは幕を閉じた。

だが新たなる闇が、また動き始めようとしていた。

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