プロローグ ドリーマー卿、世界的にアウトな宣戦布告
静寂を切り裂くように、魔界の空が歪み始めた。
雷鳴でもなく、炎でもない。
それは“光る広告塔”だった。
魔界上空に、巨大なホログラムが現れる。
きらびやかなスーツ、金色のマントをひるがえし、
目元には不敵な笑み。
あの男は夢の国・ドリームランド・ナイトメアの支配者、ドリーマー卿。
ドリーマー卿「諸君、ごきげんよう。
今宵、あなた方に“合法的にギリギリな悪夢”をお届けしよう♡
夢はね、無料じゃないんですよ!
この世界の笑いと心、ぜ〜んぶ……私のビジネスにしてあげます!」
ホログラムの背景が、煌びやかなネオンの街並みに変わる。
“DREAM ENTERTAINMENT GROUP”と書かれたビル群が次々と浮かび上がり、
そこから黒い稲妻が走った!
空が裂け、異界の扉が開く。
そして、そこから次々と“どこかで見たような”英雄たちが降り立った。
バッタマン「私は夜!だが最近、夜勤が多すぎて眠い!」
(目の下にはクマ、マントの裾にはコーヒー染み)
「正義は、仮眠のあとにやってくるッ!」
スッパーマン「正義の味方だが……腰がスーパーピキッ!!」
(腰ベルトに湿布、飛ぶたびにギシギシ音)
「悪を倒すより、まずストレッチだぁぁッ!」
ポパイヤ兄貴「ホウレン草が高騰して食えねえんだヨォ!!」
(代わりにモヤシを飲み込んで筋肉がしぼむ)
「オー・ノー!モヤシじゃパンチ出ねぇ!!」
オズワルド卿「しゃべる、しゃべる、しゃべる!黙る暇がない!おっと今もしゃべってるぅ〜!」
「トークで相手を眠らせる、それが私の芸だ!」
ベティー骸骨「ベティー、ステージに立つ♡……でも骨が鳴るのよね」
「トゥーン♪ ダンス♪ カラカラ♪」
ツノミー「合体したい。なんでもいい、合体したい。ツノだけじゃ生きられない!」
「頭部パーツにも、誇りがあるのだ!」
魔界中にニュースが走る。
魔界テレビ特報
「未確認ヒーロー群体が上空に多数出現中!
名称は“ドリーム・アーミーズ”。
彼らの笑いは、あなたの夢を吸い取ります!」
夢の粒子が降り注ぐたび、住民たちの目がとろけていく。
甘い幻覚。
無限に続くショータイムの悪夢。
魔界が、夢の檻に閉じ込められた。
その様子を、地上から見上げる影がひとつ。
さっちゃんである。
髪が風に舞い、扇を静かに構える。
さっちゃん「……夢を売る? ずいぶん寝ぼけた商売ね。」
マオ吉「Yo!夢も笑いも、タダが一番だろ!」
バルゴン「あいつ、笑いの本質をわかってねえな……!」
ドリーマー卿は、ホログラム越しに不敵な笑みを浮かべる。
彼の目は、どこか懐かしい炎を宿していた。
それは、かつてのフリースタイル(チート級エルフ)の弟子。
ドリーマー卿「フリースタイル師匠の“自由な笑い”は、
私が“支配可能な笑い”へと進化させました。
笑う自由? いえ、“笑わせる契約”の時代ですよ♡」
魔界の空が再び震える。
“笑いと夢の支配戦争”が、今、始まる!