エピローグ 黄泉の新喜劇軍団の帰還
舞台の幕が、ゆっくりと降りていく。
焦げたステージ、漂うお香のような煙。
笑いと涙が入り混じった空気の中、静かに足音が響く。
包帯でグルグル巻きのサンマンマが、ふらりと立ち上がった。
隣には地味ーちゃん、そして狭間の蚊んぺい、山田山田。
どの顔にも、戦いのあとに残る“笑いじわ”が刻まれていた。
サンマンマ「……笑いってのは、痛みと紙一重やな。
けどな、痛みを笑い飛ばした時、人はちょっとだけ強なれる。」
地味ーちゃんが、少し恥ずかしそうに笑う。
「私、やっと気づいたの。地味でも……笑っていいんだって。」
蚊んぺいは鼻をすする。
「泣けるやないかい……涙が…お笑いの汁や……」
山田山田「次は黄泉で営業やな!観客ゼロでもツッコミ入れ続けるで!」
彼らの背中が、光の扉へと歩いていく。
それは黄泉への帰還の道。けれど、どこか懐かしい劇場のようでもあった。
さっちゃんが一歩前に出る。
その声は、魔界の風に乗って静かに響く。
さっちゃん「お笑いってね、生きるってことそのものなの。
悲しい時も、悔しい時も、ツッコミひとつで心が軽くなる。
それって、奇跡みたいな力よ。」
マオ吉が、涙を拭きながらニッと笑う。
「さっちゃん……それ、オチは?」
さっちゃん「オチ? 決まってるじゃない。
“笑って、また会いましょ”。」
バルゴンが両手を振り上げ、
空に炎の花を咲かせる。
その炎は、黄泉の空に大きな“スマイルマーク”を描いた。
光の中へと消えていくサンマンマたち。
サンマンマは黄泉の扉をくぐる直前、振り返ってにやりと笑った。
サンマンマ「……結局な、笑いってのは死んでも消えへんのやで。
笑い死にウィルス? それ、ただのジョークや!」
「嘘つけー」と全員がツッコミをいれた
そして両手を広げ、包帯ぐるぐるの体をひらりと翻す。
光の中へ吸い込まれる直前、魔界全員に一言
サンマンマ「夢を見るのも、笑いを取るのも、オチつけてナンボやでーーっ!」
そして、黄泉の闇へ消えた。
その背中を見つめながら、さっちゃんは静かに手を合わせる。
「舞台は終わっても、笑いは終わらない。
だって命ある限り、誰かの笑顔が続く限り、
ショーは続いていくんだから。」
エンディングBGM:「オチつけてナンボ」ゆったりアコースティックver.
オチつけてナンボ! 人生コントよ!
すべった夜も ネタにしちゃえ!
泣くよりツッコめ 愛をこめて!
生きてる限り、ステージは続く!
さっちゃんのナレーションが重なる。
「笑いの神様、今日もありがとう。
そして明日も……ちょっとだけ、ボケさせてね。」
黄泉新喜劇劇場、閉幕。
観客のいない客席に、どこからともなく拍手が響いた。
『さっちゃんとバルゴンとマオ吉の魔界世直し8 黄泉の新喜劇軍団が笑い死にウィルスをまき散らす』
ー完ー