プロローグ 魔界に黄泉の国からお笑い軍団が地方周り!?
その日、魔界の夜空に、馬鹿でかいネオンの笑顔マークが浮かんだ。
「ギャハハハハハッ!」
という声と共に、地平線の向こうから巨大トラックがやって来る。
ボンネットには金文字で
『黄泉の新喜劇軍団・地獄営業ツアー2025』
と書かれていた。
車が止まると、ステージ用の照明がバチバチと点灯し、スモークの中から4人の影が浮かび上がる。
黄泉の新喜劇軍団
団長:サンマンマ
「死んでも笑わせる女」
おかっぱ頭に真っ赤なスーツ、口紅は裂けるほどのスマイルライン。
ひき笑いの「ヒ〜〜〜ッヒッヒッヒ!」で空気を歪ませる能力を持ち、
聞いた者の肺を“笑いすぎ”で破壊する。
その笑い声には魂を震わせるウィルスが宿る。
団員:地味ーちゃん
くすんだベージュのワンピースで登場する地味な女芸人。
だが、ネタが“地味すぎて”逆にツボを突く。
聞いた者は“笑いを我慢しようとして”窒息する。
通称:「沈黙の殺笑師」。
団員:狭間の蚊んぺい
常にブーンという蚊の羽音と共に登場。
ギャグを言うたびに観客の脳を“くすぐる”超音波を発する。
「笑い」と「かゆみ」を同時に誘発し、笑いながら掻きむしって死ぬ恐怖の芸人。
団員:山田山田
名前を二回名乗る二重人格芸人。
片方がボケ、もう片方がツッコミを担当。
自分同士の掛け合いが完璧すぎて、観客の脳が“テンポの速さ”に追いつけず、笑い過ぎで昇天する。
名台詞:「オレがオレにツッコミ入れたら宇宙が割れる!」
魔界の惨状
公演開始5分
魔界の広場はすでに阿鼻叫喚。
観客席の魔族たちは腹を抱えて転げ回り、
「笑い死にウィルス」が霧のように立ち上る。
「ヒ〜〜〜ヒッヒッヒ! 魔界の皆さん、死ぬまで笑ってくださいねぇぇぇ!」
サンマンマ、ひき笑い発動。
その声が響いた瞬間、空気が震え、建物の壁にヒビが入る。
笑いが伝染するたびにウィルスが広がり、
「ぎゃはははっ!」
「もうやめてくれ!」
「お腹が破けるぅぅぅ!」
という悲鳴があちこちから上がる。
魔界中のテレビ塔が“笑い電波”を受信し、
各地の村でも同時に笑いの感染が始まった。
魔界全体が、まるで狂気の新喜劇スタジアム。
笑い声と絶叫が混ざり合い、夜空には黒い花火のようにウィルスが弾けていく。
丘の上から、その惨状を見つめる3人。
さっちゃん「……アンタたち、本気で魔界を笑い殺す気なのね。」
バルゴン「ギャグが爆発的すぎて物理現象になってる!」
マオ吉「Yo!こりゃビートじゃ止まらねぇ!ツッコミもリズムも限界突破だ!」
さっちゃんがため息をつき、扇を握る。
「ウィルスを鎮めるには、笑いを止めちゃダメ……?
笑いながら助けるって、どんな罰ゲームよ!」
こうして、
“笑いの源”を絶やさずに、“笑い死にウィルス”を鎮めるという矛盾したミッションが始まった。
ナレーション
『さっちゃんとバルゴンとマオ吉の魔界世直し8
黄泉の新喜劇軍団が笑い死にウィルスをまき散らす』はじまり、始まり~