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【45万PV突破 ! 全話 完結】運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『 カズヤと魔族のおっさんの事件簿:騎士道 フェンシング王者殺人事件』
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第10話 真の騎士決戦篇

氷室邸・地下アリーナ。


静寂の中、スクリーンに流れるのは

東条カレンがロッカーに仕掛けをする映像、そして氷室隼人が監視記録を改ざんする姿。


カズヤの声が震える。

「……やはり、犯人はお前たちだったんだな。」


カレンは涙を浮かべながら告白した。

「私は、レオンを守りたかった……。

真実を暴こうとした彼を、“英雄”として残したかったのよ。」


しかし氷室がその言葉を遮るように、ゆっくりと笑う。

「守る? 違うな。俺はただ“理想の騎士”を創りたかっただけだ。

己の正義を貫く者が、どれほど愚かかを証明するために。」


氷室はフェンシング・マスクを被り、銀のサーベルを構えた。

「真の騎士道を見せてやる、この俺がな!」


その瞬間、アリーナ全体の空気が凍りつく。

殺気が、光のように走る。


だが

アイゼンの胸の中で、何かが目覚めた。

かすかな声が響く。


(……アイゼン……頼む……彼を止めてくれ……)


その声は、紛れもなく如月レオンのものだった。

赤い魔族の瞳が黄金に変わる。

「……如月レオン、か。お前の“誓い”、受け取った。」


次の瞬間、アリーナの床に魔法陣が走り、風が渦巻いた。

アイゼンの髪が白銀に染まり、背中から淡い光が噴き出す。

その姿は、まさに“真の騎士”の顕現だった。


氷室は狂気に笑う。

「面白い……レオンの魂を宿したか! ならば俺が叩き折る!!」


金属音が爆ぜた。

氷室の突きが空を裂き、アイゼンがそれを弾き返す。

二人の剣筋が交差するたび、火花が散り、床が焦げる。


「貴様の理想は偽りだ!」アイゼンが叫ぶ。

「偽りでも、美しくあればいい!」氷室が吠える。

「美しさを求めて真実を殺すな!!」


アイゼンの一撃が氷室の剣を押し返す。

魔族の力と、レオンの魂の信念が融合した一撃


それはまさに光と闇の衝突。


氷室のサーベルが、折れた。

「なにっ……!」

アイゼンは一歩踏み込み、刃の切っ先を氷室の喉元へ突きつける。


「終わりだ、氷室。」


だが氷室は、静かに笑った。

「ならば、俺は理想と共に散る。騎士の最期にふさわしい。」


その言葉と同時に、折れたサーベルの破片が、氷室の胸に深く突き刺さった。

血が床に滴り、彼は崩れ落ちる。


氷室「……これが……真の……騎士道……か……」

そう呟き、微笑みながら息絶えた。


カレンは膝をつき、嗚咽を漏らした。

アイゼンの中で、レオンの魂が微笑む。


(ありがとう、アイゼン。ようやく……終わったな。)


黄金の光がゆっくりと消え、アイゼンは膝をついた。

「真の騎士とは、正義を掲げる者ではない。偽りに屈しない者……如月、お前が教えてくれた。」


アリーナの灯が一つずつ消えていく。

残されたのは、折れた剣と、静かな誓いの残響だけだった。


如月レオン(被害者)

27歳。日本フェンシング王者。

協会の不正を暴こうとしていた理想主義者。

死の直前、「To the True Knight」という手紙を残す。


神宮寺メイ

レオンの婚約者で元選手。

事件当夜、彼と口論していた。心に秘密を抱えている。


氷室隼人

フェンシング協会理事でレオンの元師。

冷酷な勝利至上主義者。しかし殺人の動機が見つからず、どこか「芝居じみた潔白」を感じさせる。


橘リサ

スポーツ記者。協会の不正を追っていた。

取材メモを盗まれ、命を狙われる。


ヴィクトール・クラウス

ドイツ人コーチ。

「剣は魂を映す鏡」と語る哲学者肌。

魔剣伝説に詳しい。


東条カレン

協会広報担当。元ジュニアフェンシング選手。

明るく有能だが、レオンとは「過去に師弟関係にあった」と噂される。

事件後もなぜか冷静すぎる態度を見せる。


如月アオイ

レオンの妹。

兄を慕っていたが、兄の理想に人生を縛られていた。

取材の中でカズヤにだけ涙を見せる。


八代宗一郎

スポンサー企業「八代グループ」の御曹司。

フェンシング協会の最大の出資者。

穏やかで紳士的だが、レオンの死を「惜しい逸材でしたね」と冷たく評する。


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