第十一話 吐けないブレス
《最弱》にして《最狂》
ゼロ能力者・リスク、今ここに、すべての《数字》を――上書きする!
俺のステータスが、狂ったように跳ね上がるッ!!
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名前:リスク(Zeroを超越する者)
レベル:49
体力:24
攻撃: 0+995+673(運)+625(賢さ)×300(ゼロの法則発動)
防御: 0+900+673(運) +625(賢さ)×300(ゼロの法則発動)
素早さ:0+955+673(運) +625(賢さ)×300(ゼロの法則発動)
魔力:1
賢さ:625
運: 673
※この世界で、最も弱いスライムに負けた男。
称号:必殺の仕事人リスク
称号:ビックリさせる天才
称号:しびれさせる者
固有スキル
・ゼロの法則(ゼロの能力を3つ発動すると発動。運と賢さが加算され、×300で攻撃・防御・素早さを強化)
・村を作る(現在無効)
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「これが……!俺の全ッッ力だああああああああああああッッッ!!!!」
全力で振りかぶる!
攻撃力わずか20の毒針を――ティアマットの左首(下)へ!!
ズバァァァァァァァァンッ!!
「ギャアアアアアアアアア!!!!」
ティアマットの左首(下)が、風船のように膨れ上がり――破裂した!!
残る首は4本!!
「いくよーっ!!《重圧撃グラヴィティクラッシュ》!!」
カンナ姫のハンマーが空間ごと歪め、再生しかけた首を粉砕する!
「続けッ!!」
勇者アルベルトが右首(上)に斬りかかる。
「《双影斬ッ!!》」
クロスする双剣が閃光となり、右首(上)を断ち落とす!
ズバァァァァァァァァンッ!!
再び、俺は左首(上)へ毒針を――
「やめろぉぉお!!!!」
破裂音が轟き、ティアマットの首がまた一つ吹き飛ぶ!!
「モグラたたきー!!《グラヴィティクラッシュ》!!」
カンナ姫の連撃が再生すら許さぬ――!!
「《双影斬ッ!!》」
再びアルベルトが切断、地面に赤い雨が降る――
繰り返される破壊の連携。
地底竜ティアマットの五つの首は、ついに――
あと1本!
「1-2=……-1だぁああああああああ!!」
叫びながら、俺は毒針を最後のメインヘッド(中央)に突き立てる!!
ズバァァァァァァァァンッ!!
ティアマットが首、全損。
その巨大な体がよろめき――
「兄貴の魂、見せてやる……ッ!!」
勇者アルベルトが、あの必殺奥義を解き放つ!
「《リンゼルラッシュ》!!!!」
一撃、二撃、三撃――
赤い斬撃が、光となって舞い踊る!!
四撃、五撃、六撃、七撃――
兄弟の魂が交錯し、地を裂き、火花が舞う!
八、九、十――
風圧が唸り、剣の炎が大地を焦がす!
十一、十二、十三――
赤き炎がうねり、全世界を焦がさんと燃え上がる――!!
「ラストォォォォッ!!!!」
十四撃目――灼熱の一閃!!
燃える双剣が一直線に突き刺さる!
――地底竜ティアマットの心臓を、貫いた!!
「…………ッ」
その瞬間、全ての音が止まる。
そして。
ドオォォォォォォォン!!
ティアマットの巨大な身体が――崩れ落ちた。
地の神が、沈黙した。
地鳴りが止み、静寂が訪れる。
俺たちは、勝った。
《地底竜ティアマット》に、勝ったのだ!!