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第九話 復活する首


挿絵(By みてみん)


―――――――――

名前 地底竜 ティアマット


レベル:99

体力:9999

攻撃:5600

防御:8000

素早さ 999

魔力:5000

賢さ:999

運:200



【頭部構成】

メインヘッド(中央):黒炎ブレス(全属性を混合した破壊火炎)


右首(上):土崩ブレス(大地を崩壊させる岩石弾)

右首(下):毒霧ブレス(即死レベルの猛毒霧)

左首(上):死霊咆哮(死者を蘇らせる音波)

左首(下):魔力吸引(魔力を吸い尽くす竜吸)


この世界で遥か太古、地底世界を統べていた“5つの頭を持つ”伝説級のドラゴン。その身体は地殻の魔力を吸収しており、全身が黒曜石のように硬化している。5つの首はそれぞれ異なる属性のブレスを吐く。神々によって封印されていたが、勇者の血によって闇の司祭カザールが復活させた。


固有スキル 地の王(地属性無効)再生因子《竜核再臨》たとえ首が切り落とされても、時間が経てば再生する。

五属性ブレス連携ペンタ・ブレス5つの首が持つそれぞれの属性ブレスを、同時または連続で発動可能。


―――――――――


崩れた大地の奥で、地底竜ティアマットが咆哮を上げた。


勇者アルベルトはドラゴンバスターを構え、五つ首の怪物に向かって突進する。


「うおおおおおおおおっ!!」


ギン――ッ!!

黒曜石のような鱗に刃がかすめ、左下の首を斬り落とす。

地響きのような絶叫が神殿を揺らした。


「やったか!?」


だが、切り離された首は、ひび割れた黒い肉塊から再生を始めていた。


「……ふざけるな。何だ、この再生力……!」


シスターマリアが絶叫するように叫ぶ。


「その首、再生するみたい! ……時間が経てば戻る!」


ティアマットの五つの瞳が光る。

中央の首メインヘッドが、深紅の黒炎を喉奥に溜めていた。


「危ない、アルベルトッ!!」


ズゴォォォォォォォ――ッ!!


黒炎ブレスが炸裂し、地底の空間を焼き尽くす。

勇者アルベルトが必死にドラゴンシールドを展開してブレスをそらす。


ゴオォォォォォッ!!!


壁が溶ける。床が崩れる。空気が熱で歪む。


マリアの魔力も限界が近い。顔色が青ざめていた。


「私の魔力も……もう、長くは持ちません……!」


「シスターマリア、下がれ! 少しでも回復を……!」


「傷を負いし者に、安息と再起を与えたまえ──《セラフィム・グレイス(天使の恩寵)》!!」


天空から金色の羽のような光が舞い降り、アルベルトの体に降り注ぐ。

砕けたドラゴンメイルの鎧が修復され、裂けた肉体が滑らかに癒やされていく。


「リスクとカナンが来るまで持ちこたえよう。」


だがそれでも、こちらの体力は消耗し、ティアマットの首は次々に再生される。

勇者とシスターマリアの全滅は、時間の問題だった。




リスクとカンナ姫は真っ逆さまに地底の闇へと落下していた。下方には鋭利な岩の層。速度はどんどん増し、このままでは確実に死ぬ。


「クソッ……!」

カンナ姫は歯を食いしばり、背中に背負っていた巨大な金槌《グラン=ツァンハンマー》を反転させて振り上げた。


「ここで終わるわけにはいかないッ!」

金槌が天に向けて振り切られた次の瞬間――カンナの瞳がぎらりと光る。


重圧撃グラヴィティクラッシュ!!」


咆哮のような詠唱と共に、金槌が地面へ叩きつけられた。


瞬間、空間が歪み、空気が震える。

重力が一点に集中し、地底の岩盤はまるでガラスのように粉砕された。砕けた岩が重力の歪みに吸い込まれ、衝撃はすべて内部に消え――爆発のような轟音の後、空間は静かに収束した。


その中心に、着地したカンナ姫がいた。片膝をつき、肩で息をしながらも、しっかりとリスクの身体を抱きかかえている。


「……ふぅ、間に合った……!」


リスクは目を見開き、目の前の姫をまじまじと見つめた。


「カンナ姫……! ありがとう、お姫様。村人は、助かりました……!」


カンナは肩で息をしながら、ちらりとこちらを見てニヤッと笑う。


「惚れるなよ? あたしは騎士でも天使でもねえ、ただの女戦士だからな。」


「いえ……もう惚れてます。」

「やめろ、そういうのは生き延びてから言えっての! まだ死んでねぇだけだ、戦いはこれからだぞ!」


カンナはリスクを地面に下ろすと、金槌を地に突き立てた。


「でもまあ……褒めてくれて、ありがとよ。」

ほんの一瞬、照れたように視線をそらしたその顔には、赤みが差していた。


闇の中、二人は再び顔を上げる。地底の奥深く、ティアマットの咆哮が遠くから響いてきた。


「行こうぜリスク。あいつらを助けるんだ。遅れを取ってらんねぇ。」


「はい、カンナ姫。今度は俺が、あなたを守ります。」


「……ほんっとに、惚れてんなオマエ……ま、いいけどさ!」


二人は笑い合いながら、迷宮のような地底を駆け出した。

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