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 グレースとシェスタ・マーベレストを行ったり来たりしている間、あたしたちのところにシェスタ・マーベレスト側の奴らが来ることはなかったけれど、他のチームのところには何度も現れているらしい。


 どうしてあたしたちのところには一回も現れることはないのか。


 シェスタ・マーベレストの連中に問いただしたいところだけど、来ないんだったら文句の一つや二つも言えないよね。言っても変な人扱いされるかもだし、これは心の中だけの愚痴にしよう。


 シェスタ・マーベレストの連中があたしたちのところに来ないことを気にしているのは、今のところあたしだけらしい。


 みんな普段とあまり変わらない様子なのは、戦いにあまり興味がないのか、前に言っていた通り戦わないのはいいことだと思っているからなのか。


 どっちなんだろう?


 グロリアには、この剣の効果が知りたいみたいなことを言われていたから、てっきりバンバン戦うのかと思っていたのに、蓋を開けたら全然なんだもん。


 もしかして、相手もグランディーナさんの祝福の力に見惚れちゃって出るのを忘れちゃったとか?


 そんなのまさかだよね。


 だって、あいつらは祝福持ちを捕まえるのが目的なんだから、見惚れて動けませんでしたなんてことあり得る訳がない。


 だけど、あたしたちの前には全く姿を現さないのを見る限り、そうなんじゃ? という疑問が付きまとう。


「グランディーナ、もう少し蝶の数は減らせるか?」

「分かりました。では、一匹とか二匹ずつにしてみますね」


 そう考えたのはあたしだけじゃなかったみたいで、オレイオさんがグランディーナさんに声を掛けているのを見かけた。


 グランディーナさんはそれに嫌そうに返事をするでもなく、二つ返事で頷いた。


 そこからは国境を出る時からとか、にグランディーナさんはほぼずっと生み出していたからか、ぽつりぽつりとシェスタ・マーベレストの兵なのか、本当にただのゴロツキなのか分からない奴らが出始めた。


 やっぱりあの光景は誰が見たって魅了されてしまうんだ。


 あれに見惚れない方が無理があるよね。


 捕まえたシェスタ・マーベレストの奴らは別の人たちが尋問するらしく、あたしたちはまた囮となって戦うらしい。


 尋問はしなくてもいいのは楽かもだけど、ちょっとだけやってみたかったような気がする。


 でも、出来ないのなら、どんな風に尋問するか知らない方がいいよね。


 祝福の力を無効化する剣が祝福の力を無効化してくれるお陰で、剣だけでの戦いになるからか、あたしでも何人か殺すまではいかなかったが、倒すことは出来た。


 どれぐらいの祝福を防げるのかまでは、イマイチ分からないけど、でも、剣の腕はそれなりに上がっていることが分かったのは僥倖だった。


 グロリアとの訓練だけじゃよく分からなかったんだよね。


 目標はメーシャさんたちの動き。


 スパイとして動いていたのに、あっという間に施設を占領してしまう強さは圧巻だった。


 グロリアにそのことは言ってない。


 あの四人の戦い方はグロリアや騎士のような戦い方ではなく、もっと泥臭い? っていったらいいのかな? そういう戦いだった。


 その辺りにある物を投げつけたり、敵を上手く誘って同士討ちさせるように仕向けたりと、結構激しい戦いだった。


 ああいう戦い方をグロリアはしないのか聞いたことがあるけど、好きではないし、騎士の戦い方ではないらしいので、それ以上は聞けなかった。


 あたしが目指す戦い方はどっちが正解なんだろう?


 王子と戦う時は絶対護衛とかいるだろう。あたしは強くなったとはいえ、それがどこまで通用するか分からない。


 国境で暴れる奴らなんてゴロツキと大して変わらないと聞いたし、まだまだ強くなった方がいいよね。


 王都に戻ったらまたグロリアに稽古をつけてもらおう。


 それに、メーシャさんたちにも連絡が取れたら取って、戦い方も教えてもらいたい。


 だって、覚えて損はないよね。


 どっちの戦い方も魅力的だもん。何が役に立つか分からないんだから、覚えていて損はないはず。


 今はあれこれ考えていたって仕方ない。まだ任務は終わってないのだから、シェスタ・マーベレストの奴らを一人でも捕まえることなんだけど、一つだけ気になることがある。


 シェスタ・マーベレストからくる旅人の中からラフォン様の名前がぽつりぽつりと聞こえてくること。


 任務中だから気にしないようにとしていても、気になってしまう。


 そんなあたしの態度にオレイオさんも気付いてか、後で調べておくから、今は仕事のことだけを考えておくようにと何回か注意をされてしまった。


 そりゃ、オレイオさんのいうことも分かるよ。


 分かるけど、お世話になった人の名前が聞こえて来るのに、反応するなっていう方が変だもん。


 でも、今のあたしがラフォン様のことに首を突っ込んでも、ラフォン様のご迷惑になるかもしれない。それなら自重しなくちゃ。


 ラフォン様のことはオレイオさんに丸投げにして、目の前の仕事に集中しなくちゃ。


 そうやって何度か戦ってようやくシェスタ・マーベレストの奴らの数が減って来たらしいので、やっと王都に戻れるらしい。

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