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 メーシャさんのお陰で、あたしも殆ど知らなかった祭りについてはそれなりに分かってきたけど、実際の祭りをやってる場所にはタイミングが悪いのかまだ出くわしたことはない。


 あたしが裏方として参加したのは二、三年ぐらい前だからロンシャウではしばらくやらないしなぁ。


 あの時のユリアは沢山のご馳走を持ち帰って来てくれたから、あたしもご馳走にありつけたんだっけ。懐かしい。


 今はあの頃の食事よりもいい物を食べられるけど、あれはあれで特別感があって


 どこかで祭りやっていてくれたらいいのに。


 中々やっている場所にたどり着けない。もしくは、この間祭りが終わったばかりだよと言われてしまってツイてない。


 下手したら祭りの開催地を見つけるのに、何年か掛かるとか?


 さすがにそれはないと信じたい。近場のどこかでタイミングよくやっていてくれないかな?


 多分どこかでやってるはずなんだけどなぁ。何で見つからないのか。


 というか、どこもかしこも祭りが終わったばかりだなんて、タイミング悪すぎでしょ。これからの季節にやってくれたらよかったのに。


 こんなことなら、使節団に入るために覚えなきゃいけないことの半分ぐらい短縮してくれていたら間に合ったかもしれないんじゃないのって気がしてくる。


 特にダンスはいらなかったんだし、もっと早くあたしはこっちの国に戻って来れたんじゃないの?


 何でマナーやダンスなんてしなきゃいけなかったのか意味が分からない。


 グレースに戻る前に、マナーとダンスなんて全部忘れてやるんだから!


「近くでやっててくれたらいいんだけどね」

「そうですね。……あの、一回他の人たちと合流したりしないんですか?」


 タイミングよくどこかでやっているのかは分からないけど、あたしたち以外の四人が運よく見つけてくれている可能性だってある。


 その可能性に賭けたって悪くはないよねと思って、メーシャさんに聞いてみた。


「ああ、そういや、あいつらが何か情報を手に入れているかもしれないね。でも、あたしらは王都に近付けないから行けないよ」

「王都?」


 他の四人の情報を聞くのにどうして王都? グレースに戻らないの?


 よく分からなくて首を傾げていたらメーシャさんはため息を吐いた。


「まだ分かってなかったか。あたしたちが集めた情報をイチイチ国に持って帰って、また戻ってってやっていたら大変でしょ。使節団のところで一旦情報を交換するの」

「それって危なくないんですか?」

「灯台元暗し。意外とバレないんだよ。それに、あの姫様が読唇術が使えるって聞いたことはないよ」


 聞かないのと、出来るのとは違うのでは? と不思議に思ったけど、何年もこの国に色んなスパイを送り続けているという言葉にそれならと納得する。


「今まで何かしていることは分かってはいるだろうが、あの姫も万能ではないんだし、ちょっとやそっとじゃ疑われたとしても、グレースって国は揺らがないからあたしらが少しぐらいヘマをしても怒られないから安心しな。ま、ヘマしないのが一番いいんだけどね」


 メーシャさんが行かないのはあたしがいるからだよね。


 まだあたしはこの人たちに信頼されてないことにちょっとだけショックを受ける。


 あたしは王都には行けないのか。残念。でも、王都に行けたらあたしは復讐のためにすぐに動くだろうから、今は行けなくていいのかも。


 あたしが今することは復讐ではなく、この国に捕まってしまった他の国の祝福持ちたちを助け出すことだもん。目的を間違えてはいけない。


 いつかは復讐が出来る。それまであたしは自分に出来ることをやっていけばいい。そうやってコツコツやるべきことを片付けた先にあたしが倒すべき相手がいる。


 だけど、今は信頼されたいとまでは言わないが、まだ疑われいるんだという事実に少なからずショックを受ける。


 でも、落ち込んでいる暇があるんだったら、おこがましくてもなんでも信頼してもらえるように行動した方がいいよね。


 とりあえず、メーシャさんみたいにすんなりと欲しい情報を得れるようにしたい。


 どうすればいいのかとメーシャさんの行動を見ている内にちょっとずつあたしも分かって来たような気もしなくはない。分からなければ、メーシャさんに聞けば教えてくれるからまだ不安になってる暇はない。


 奮闘あるのみ!


 そうして何とか一回だけ祭りについて聞くことが出来て、しかも、タイミングよく近くでやるという情報まで手に入れることまで出来てビックリした。


「ラナやったじゃん!」


 そのことをメーシャさんに伝えたらすっごく褒められて嬉しくなっていたら、ぎゅっと抱きしめられた。


 我が事のようにというか、あたしの数倍は喜んでくれているからあたしも嬉しくなってきた。


「はい! メーシャさんのお陰です」

「あたしの?」


 きょとんとした顔で聞いて来たメーシャさんに頷く。


「メーシャさんのやり方を見ていたお陰で出来ました」

「そっか。じゃあ、もっと頑張ろうか」

「はい!」


 手がかりらしきものをようやく一つ見つけただけだけど、今なら何でも出来そうな気になってきた。


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